内容説明
西暦2310年、小惑星帯を中心に太陽系内に広がった人類のなかでも、ノイジーラント大主教国は肉体改造により真空に適応した“酸素いらず”の国だった。海賊狩りの任にあたる強襲砲艦エスレルの艦長サー・アダムス・アウレーリアは、小惑星エウレカに暮らす救世群の人々と出会う。伝説の動力炉ドロテアに繋がる報告書を奪われたという彼らの依頼で、アダムスらは海賊の行方を追うことになるが…。シリーズ第3巻。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として期待が高まっている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文庫フリーク@灯れ松明の火
120
図書館より4巻未着のまま3・5巻読了。1巻で登場した〈海の一統〉ご先祖によるスペースバトル。アクリアの見たドロテアとは異なるが、恐るべきパワーを持つドロテア遺蹟。ノイジーラント大主教国という故郷たる星があるのに、アウレーリア一統はなぜハーブCの一都市に住み着くことになったのだろう。アクリラを救ったロボットメイドのカヨ、カドムを守った石塔型ロボット・フェオドールのボディもセアキの設計により〈酸素いらず〉の手で造られ、被展開体同士の闘いに重要な役割を果たす。5巻をすでに読了したためエピローグの〈ダダー〉が→2014/08/18
みっちゃん
109
1巻の500年前、2巻の300年後、太陽系に広がった人類。木星で発見された謎の遺跡「ドロテア・ワット」を巡る華麗なスペース・オペラ!1・2巻のご先祖や子孫とおぼしき豪華な登場人物やお馴染みの知性体カヨやフェオドールが飛び回る活劇が楽しめます。特にアダムスは1巻のアクリラとそっくりなんだろうな。とにかく麗しい。それにしてもこのシリーズ、新しい巻を開く度に全く違った展開で驚かされます。次はどんな手で驚かせてくれるのでしょうか?2014/03/08
いおむ
108
毎巻違ったテイストで楽しめる大長編小説ですが、今回は宇宙空間を舞台に戦闘シーン満載で描かれたストーリーで非常に面白かった!ドラマ的なところも良く、終章でのセキアとアダムスの会話は読了がとても後味良くてサイコー!続く断章四のストーリー補完がまた続きを読みたくなる絶妙さ。うまいなぁ。2016/12/29
ケンケン
103
舞台が未来・宇宙に変わり、用語にも戸惑ってなかなか読み進めませんでしたが、慣れてくると前作の繋がりもあり面白くなって、どんどんと読めました! あの動物・あの人・あの物があんな風にね〜♪ 断章のダダーの語り口が、なんか好きかも(笑)2013/03/21
藤月はな(灯れ松明の火)
96
アクリラ、セアキの御先祖、登場巻。種の存続のために肉体改造や同性、異性関係なく、愛情を持った者を愛すことができるが故に強い絆を持つようになった<酸素いらず>と冥王斑へのワクチンを作り出すことで人類との共依存に頼らなければ生きていけず、無力感と不条理への怒りで結託してきた<救世群>の対比が印象的でした。故に冥王斑に感染したとして隔離、役職を下される傷心のアダムスに対してのグレアの嘲笑は仕方のないことかもしれない。アマーリエとジニのイチャラブぶりにウンザリし、カヨにも気を使われるセアキに思わず、噴きだしました2014/09/05