内容説明
大量破壊兵器の衰退に伴い台頭した近接戦闘兵器体系・機甲兵装。『龍機兵』と呼ばれる新型機を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として姿俊之ら3人の傭兵と契約した。閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立て篭もり事件の現場で、SATと激しく対立する。だが、事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた…“至近未来”警察小説を描く実力派脚本家の小説デビュー作。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。在学中、清水邦夫、高橋玄洋に脚本・演劇を学ぶ。卒業後予備校講師として現国・古文・漢文の教鞭を執る。1988年『ミスター味っ子』で脚本家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
近未来的時代遅れ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
296
シリアスな国際犯罪警察小説にパワードスーツを絡ませた、大人の小説に少年の夢を加えた近未来警察小説。しかし龍機兵を扱う特捜部SIPDの面々は警察官でありながら警察から白い眼で見られ、明らさまに罵られ、行きつけのお店からも追い出される。そんな確執を抱えながらも日々過激化する機甲兵装を使ったテロリストたちと命がけの戦いを強いられる特捜部たちの姿が骨太の文体で頭からお尻まで緊張感を保ったまま語られる。SF的設定が見事に組織の軋轢の狭間で額に汗水たらして捜査に挑む警察官たちの活躍と結びついた読み応え十分の一級品だ。2017/03/13
文庫フリーク@灯れ松明の火
195
市街地での近接戦闘を主眼とした《機甲兵装》と総称される軍用有人兵器。警視庁特捜部・特殊セクションSIPDの人型強化兵装《龍機兵》コードネーム『フィアボルグ』『バーゲスト』『バンシー』の3体。搭乗者は〈黄金のディアボロス〉と呼ばれた伝説的傭兵部隊唯一の生き残り・姿俊之。元モスクワ民警の刑事・黒手袋のユーリ・オズノフ。唯一の女性搭乗者〈IRFの死神〉と呼ばれたライザ・ラードリー。裏社会の一流を集めた、通称《機龍警察》を率いるのは、外務省出身・異端の沖津部長。龍機兵の要は『龍骨』と呼ばれる中枢ユニットに→2014/05/23
absinthe
187
機甲兵装の存在もかっこいい。工事現場の重機なんてものじゃなくアクションヒーローのような高速動作。ロボットオタクが書いた警察物と言った感じだが、内容はかなりのハードボイルド。実はメカの描写も面白いのだが楽しむべきは人物設定。傭兵としてかつての戦友と相まみえる悲劇。賞賛とも尊敬とも無縁でただ捨て駒のように働く人物たち。リアルな警察者に、浮かないように巧みにロボットアニメが混じってくる感じが良し。パトレイバーより戦闘妖精雪風を思い浮かべた。2019/02/18
KAZOO
173
この著者については結構このサイトで「土漠の花」や「ガンルージュ」というのが掲載されていて気になっていました。警察ものが好きなのでそれでとりあえずこの本を読みました。近未来の警察のあり方で、ロボコップやワイルド・セブンを思い出しました。この巻はどちら方というと登場人物の紹介的な色合いのもので全体像がわかるようになっています。このシリーズを読んでみようと思いました。2016/08/25
おしゃべりメガネ
173
スゴい作品が登場してきました!ジャンル的にはSFミステリーという感じになるのでしょうか。とにかく時代(背景)設定からキャラの造形、文章の流れまでとにかく素晴らしい作品です。意味なくあわただしくドタバタと話を無理やり展開させるコトはなく、本当にキャラの内面描写を含めてひとつひとつ、とても丁寧に描いてくれています。かといって中だるみすることはまったくなく、アッという間のイッキ読み必至な作品でした。SF背景にありながら、ミステリーを軸に人間ドラマもあり、シリーズ化も納得の作品で今後の展開にますます期待します。2012/12/24