内容説明
かつて世界は悪魔に滅ぼされた。主は五階層の閉鎖都市を創造し、聖なる「壁」によって悪魔の侵入を食いとめたという。それから幾星霜、都市を統べる「殿堂」の聖職者ブルーは、悪魔崇拝者の摘発後、世界の真理を探究する修学者ヘーゲルに出会い、「殿堂」の厳格な支配に疑問を持つ。それは、神と悪魔をめぐりブルーを嘲弄する、狂乱劇の始まりだった。やがて、すべてが昇華する地平に真実が顕現する―著者畢生のSF黙示録。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年、大阪府生まれ。神戸大学卒。1993年、長篇『凶の剣士』が集英社ファンタジーロマン大賞に佳作入選して作家デビュー。ヤングアダルトSFを経て一般文芸の世界に進出、SF・ホラー・ミステリなどジャンルを超えた活躍を続けている。2001年のSF短篇集『銀河帝国の弘法も筆の誤り』(ハヤカワ文庫JA)の表題作で星雲賞日本短編部門を受賞、1998年の伝奇ホラーSF『水霊 ミズチ』、2003年にハヤカワSFシリーズJコレクションにより刊行された『忘却の船に流れは光』で日本SF大賞にノミネート(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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