内容説明
本書と続刊『ハードボイルド』は著者初のエッセイ集『ミステリオーソ』(95年)に、その後著された新たなエッセイ・対談・短篇を加えて再編集した“原リョウエッセイ集”増補版。本書は、映画とジャズが大好きな少年がハードボイルド作家としてデビューするまでの紆余曲折を豊かな感性で表わした「飛ばない紙ヒコーキ」を始めとして、おもに映画・ジャズ・自身に関するエッセイと対談を収める。原リョウの世界を知る最適の書。
目次
飛ばない紙ヒコーキ
観た聴いた読んだ
視点
トレンチ・コートの男たち
ジャズについての六つの断章
ジャズを愉しむ
同級生おじさん対談(中村哲)
著者等紹介
原リョウ[ハラリョウ]
1946年佐賀県鳥栖市生れ。九州大学文学部美学美術史科を卒業。70年代はおもにフリージャズのピアニストとして活躍。30歳頃から意識的に翻訳ミステリを乱読し、特にレイモンド・チャンドラーに心酔する。88年、私立探偵・沢崎が初登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』によって日本のミステリ界に颯爽とデビュー。89年に長篇第2作『私が殺した少女』を発表、第102回直木賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
100
再読です。さまざまなマスコミに発表した文章を、自伝的なもの、映画・ジャズ・読書などの観点から分類したもので非常に楽しめました。年代が同じということと趣味までがほとんど同じなので原さんの書かれていることが非常に心にしみわたるようです。とくにジャズについてはピアノをご自分でやられていたせいもありかなりの入れ込みようです。それにしても次の作品を早く出してもらいたいですね。2017/11/22
セウテス
81
私も社会人になるまで、結構映画館に足を運んだと思う。小学生の頃銭湯に行くのだが、脱衣場の壁一面に映画の宣伝用ポスターが貼ってあった。「風と共にさりぬ」「007シリーズ」からかなりの数観たものだが、「太陽がいっぱい」は格別な想いの作品の一つである。今でも直ぐに、テーマ曲が太陽の光の眩しさを伴い、頭の中に流れてくる。作品を書くまでの話や執筆中の考えなど、たいへん興味深い話であった。言葉の選び方や原氏の所感から、あらためてハードボイルドというスタイルを感じる良い機会になった。ジャズをバックに、映画を観たくなる。2021/10/16
perLod(ピリオド)
6
1990年から2004年にかけてのエセー。最後は中村哲さんとの対談で驚いた。同級生だったとは。 必要とはいえ不快な本を読んだ後だったので気楽な本だった。作者の好きなジャズ、映画、小説について。また地元のアマチュア・ジャズバンド結成とその後についてのノンフィクションと、興味深い内容も結構あった。 とはいえジャズも映画もほとんど知らないのでなんともいえない部分が多い。その上で彼の趣味は総じて「イカすおやじ」でまとまっている気がした。→続く2022/02/25
とみやん
6
これで、原さんの本は読了したことに。少し寂しさもある。 ジャズとモーツァルト、映画を鑑賞したくなった。特に、1950-60年代のモダンジャズやフランス映画にはこれまで接点がなく、とても気になった。沢崎の設定やハードボイルドへの著者の思い入れが分かり、原作品を再読したくなった。 それにしても、この人の自由な生き方、なかなか真似はできないなー。2017/07/01
4fdo4
5
原りょうのハードボイルドを期待していると裏切られる ほとんどがジャズの話でつまらない 残念 2018/01/07