内容説明
皇権排除を画策するサイテン首相は、スミルらを襲った大規模余震を機に国家権力を掌握、星外進出を見据えた軍備増強を推進していく。いっぽうセイオのもとには、100日後の第二次震災発生という衝撃の情報がもたらされる。復興院総裁という権力を失った彼が、“予知された災害”に対して講じた方策とは?そして、迫りくる国家崩壊の危機に、摂政スミルがくだす最後の決断とは?―未曽有の国家再生ドラマ、全3巻完結。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1993年、中篇「リトルスター」が集英社ジャンプノベル小説・ノンフィクション大賞佳作に入賞してデビュー。1996年、同賞大賞受賞作『まずは一報ポプラパレスより』で単行本デビュー(河出智紀名義)。丹念な取材に裏付けられた斬新なテーマのジュヴナイルSFで好評を博す。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』(ハヤカワ文庫JA)では「ベストSF2003」国内篇第2位を獲得、第35回星雲賞日本長編部門を受賞した。宇宙作家クラブ会員
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感想・レビュー
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みっちゃん
85
今は消滅してしまった地球の遺物。刻々と迫る2度目の震災!でも今度は違う。軍部や政府の上意に従うのではなく、1人1人が考え、行動を起こし、それがまた次の動きを作り出す。指揮系統を飛び越えた連携が、大きな共感の輪となってゆく。胸のすく思いがした。そして距離も身分も関係なく、深い絆で結ばれた二人。「一度だけ、他のすべてを捨ててあなたのところへ来た」には心の琴線を揺さぶられました。読んで良かった。2014/09/04
Tadashi_N
37
人々に指示するのではなく、人々をヤル気にさせることが、有機的な組織には必要。2018/02/17
いおむ
29
良かった~!SF設定が要るのか?という最初の思いは払拭されました。作品的に都合よく二回目の震災のドラマを描くには必要なSFならではの舞台装置だったわけだ。ただそんなのは些細なことで、群像劇、災害スペクタクルとして非常によくできていると思った。胸熱の場面が多数!国家や民族、派閥組織様々な軋轢を越えて協力しあえる人の姿は感動。ただすべて解消されたわけではない含みはきちんとおさえつつ、将来の課題も提示されている。登場人物たちのエピローグも良かった!セイオとスミル、いつか心だけでなく傍に居られる日を!2019/01/27
miroku
24
やはり小川一水さんの作品は良い♪2017/04/06
MarsAttacks!
20
3巻に及ぶ壮大な物語がついに完結しました。多分昨年の震災を体験せずに読んでいたら、単純に迫力がありテンポの良い面白い物語としか、とらなかったと思います。今回読んで、少し青臭く理想論過ぎる感じもしますが、真の災害対策とは、政治や専門家が主導の物井でなく、名もない一市民が自発的に考え行う必要があると、教えていただきました。硬くはなりましたが、ハラハラドキドキの展開、国を巡る謀略、ちょっとしたロマンス、かなり濃密に楽しめた物語でした。2012/09/20