内容説明
ミリガン運送がふとした縁で請け負ったのは、惑星フラードルから軌道コロニーまでの3人家族の引越し業務だった。初仕事にはぴったりと、見習い社員のメイを現場の最高責任者に指名するロイド。その期待にこたえ、家財の梱包から資材調達までを順調にこなすメイだったが、そこへ思わぬ難題が降りかかる。さらには軌道上の突発事故やコロニーの不穏な動きまでがからみ、ミリガン運送はかつてない危機に…シリーズ第4弾。
著者等紹介
野尻抱介[ノジリホウスケ]
1961年三重県生まれ。計測制御・CADプログラマー、ゲームデザイナーを経て、1992年、ゲーム「クレギオン」の設定をもとにした『ヴェイスの盲点』で作家デビュー。2002年に上梓した『太陽の簒奪者』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)は新時代の宇宙SFとして絶賛を浴び、短篇版に続いて星雲賞を受賞、「ベストSF2002」国内篇第1位を獲得した
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感想・レビュー
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チョモ
8
ミリガン運送、引越しに挑戦! 引越しと言っても地上じゃありませんヨ。そこはSF、惑星から軌道コロニーへの宇宙規模の引越しで御座います。うーん、何なんでしょうか。この溢れる生活臭と馴染み深さは(^^; 物流関係の業務経験のある自分にとって、妙に生々しい描写の数々。「そうそう、空荷で帰っちゃ駄目なんだよー」、みたいな。サリバン夫人の様な面倒臭いお客さん(失礼)も時々居たっけなー、と。SF設定で巧みにコーティングされた中身の景色はコメディチックな現代劇。でも、不思議な事にそのミスマッチが心地よく胸に通るのです。2014/02/04
あかつや
5
宇宙時代の引っ越しのお話。地上であっても環境の変わるお引っ越しはストレスになるもの。それが惑星からスペースコロニーへとなればそりゃあ適応に苦しむこともあるだろうなあ。宇宙船の加速減速によるGの変化を考慮した梱包や無重量状態での宇宙酔いなど、そういう細かい宇宙的日常へ想像の翼を広げる感じがいかにも野尻抱介といったところ。物語はそのまま細かいトラブルを解決しながらの宇宙運送業の日常的なまま終わるかと思いきや、さらっと国家規模の陰謀の渦に巻き込まれ・・・いやあ面白かったです。2018/06/03
しゅう
4
再読。内容をすっかり忘れてた。途中がやや唐突だけど結構好き。B2017/02/16
ニミッツクラス
4
クレギオンの4作目。惑星フラードルでのメイの初仕事は軌道コロニーまでのサリバン家お引越しの監督・・打合せ不足で痛恨の積算ミス・・私もやったから少し泣けた。花壇のせいか、婦人に屈託のあるせいか、ともあれ名誉に掛けて引越し発動!・・って話に終始しないのが本書の良いところ。遭難船へのレスキュー対応へのジレンマを解決したが、コロニーでは○○の秘密に触れてしまいメイは監禁されることに。コロニー内での戦闘描写は上質。終盤アレがあれした時に「30センチ以上の大きさのものはなかった」には思わず吹いた。★★★★☆☆2011/11/11
radish
3
島三号型宇宙コロニーへの引っ越しを請け負ったメイちゃんが責任者としての初仕事をきちんと終わる事が出来るか?という話だが。そこは、野尻抱介。一筋縄ではいかない。2011/08/22