内容説明
ちんぴらに袋叩きにされて、“俺”は入院した。そこで偶然、病院の付添婦をしている昔の恋人と再会。彼女からの依頼で雪の田舎町まで一通の手紙を届けることになった探偵だが、町に着くなり身辺に不審な男たちの影がちらつき始め、理由も解明できないまま町を追い出されてしまう。やくざの組長の桐原の助けを借り、再び町に舞い戻った探偵に最大の危機が!雪原を血にそめる死闘の果ての意外な結末とは?シリーズ最高傑作。
著者等紹介
東直己[アズマナオミ]
1956年札幌生まれ。北海道大学文学部哲学科中退。北の歓楽街ススキノでその日暮らしの一方、家庭教師、土木作業員、ポスター貼り、カラオケ外勤、タウン雑誌編集者などあまたの職業を経て、92年『探偵はバーにいる』で作家デビュー。2001年に『残光』で第54回日本推理作家協会賞の“長編および短編集部門”賞を受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
86
【ススキノ探偵シリーズ】第5弾。前作のラストで、恋人が妊娠した事を知っての今作。なんでだろー「俺」は既に45歳になっているとは、衝撃的だが何故15年飛んだのか。なんとなく自分を振り返ってみると、この年齢の15年は速く過ぎるという事実がある。そして将来を観ない無鉄砲な年齢から、振り返る思い出は楽しいばかりではないと、理解している年齢が40代に感じる。今回俺は、かつての恋人の頼みから、吹雪の果ての田舎町へと向かう。こだわりを棄てきれない奴は、哀愁を友として生きるのだろう。大人の階段には降りもある、意味深です。2021/04/11
gonta19
78
2010/12/18 Amazonより届く。2015/12/11〜12/182年半ぶりのススキノ探偵シリーズ。久しぶりで忘れてしまっているのかもしれないが、「俺」って45歳だったんだ。春子さんと結婚してたこともすっかり忘れてた。映画で大泉洋さんが演じていたこともあり、痩せているイメージが植えつけられていたが、太ってたのね。今作品では、ススキノを離れ、斗己誕を舞台に暴れまわる。最後のシーンのせつなさは一級品。これなんかも、映画化に向いていると思うけどなぁ、第3弾はないのかな?2015/12/18
修一朗
47
前作の春子の妊娠以来14年経った。探偵は45歳中年オジサンになって,携帯電話の時代だ。ケラーオオハタ,恵迪寮の電話はもう使わない。このシリーズの特徴の時系列が混乱する原因でもあった固定電話での時間差伝言ゲームがなくなった。今回は希望が見えない田舎の話,町全部が敵のような不気味感,リアリティありあり。でもオレはやっぱり減らず口叩いている。今回のおばあさんヒロイン純子は設定からワケわからん。探偵巻き込んであげく結局秋田に帰っちゃった。やっぱりこのパターンなんだな…オレのやせ我慢に拍手。2014/04/30
林 一歩
44
二時間一気読み。前作からいきなり十年以上経過しており、最初は面喰らいましたが面白くページを捲る手が止まる事は無かった。チャンドラーちっくなエンディングが粋で素晴らしかった。2013/08/07
kaoru
41
物語内の時間が前作から十五年くらい経っている上に、舞台がうらぶれた田舎町で番外編感が強いです。なので田舎町にありがちな闇の部分を〈俺〉が引っかき回す様子はいつも通り痛快ですが、ちょっと物足りないです。2017/05/02