ハヤカワ文庫<br> 天界の城

ハヤカワ文庫
天界の城

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  • サイズ 文庫判/ページ数 285p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150306649
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0179

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

S.Mori

31
耽美的で緻密な絵で描かれた傑作SF短篇集。とにかく絵が美しいです。一つ一つのコマに匂い立つような色気があります。使われているSF的なアイディアも冴えていて、例えば「阿呆船」では人口問題と人間の脳の可能性、宇宙船という3つの要素を組み合わせて、強く印象に残る物語になっています。私が一番好きなのは「天界の城」。遠い未来の贅を尽くした空中楼閣の中で、背徳の恋が描かれます。ヒロインのルワナが哀れで胸が痛くなります。結末に起こる悲劇が強烈で、まるでブラックホールの中を覗き込むような恐ろしさを感じました。2020/08/26

更紗蝦

13
神話と魔術と科学が混然一体となったような世界観がすごく魅力的です。精神世界を描いているにも関わらず、ストーリーが極端にスピリチュアルに傾いていないので、ファンタジー要素が付加されている作品であっても、SFとしての立ち位置はしっかりしていると感じました。『やどり木』は、テラフォーミングの話かと思いきや、そんな“人間本位的”な目線の話ではなく、いい意味で予想を裏切られました。『阿呆船』は、もしかしたら、諸星大二郎の『生物都市』の影響が少しあるかもしれません。2013/09/11

くさてる

10
80年代に描かれたSFマンガ短編集。時の流れに負けないSF設定と世界観に圧倒されつつ読みました。とてもストイックで遊びを排除していて、派手ではない。でも、その厳しさから滲み出てくる作者自身の思想や嗜好がいいなと感じました。こういう正面きってのSFはいまではあまり描かれないと思うので、読むことが出来て良かったです。2014/02/12

sibasiba

7
好きな漫画家トップ5には確実に入るSF作家佐藤史生による漫画短編集。神話的グロテスクな世界が最高。登場人物を突き放した冷徹な視点にゾクゾクする。コードウェイナー・スミス読むと、どうしても彼女の作品も読みたくなる。皆も読もう。2017/08/12

labyrinth

6
異質な未来のテクノロジーを、異星の舞台でたんたんと紡ぐ。地球ではない何処かの星の、新しい選択をした人類が、古代風味な文明を築いていく短編集なわけです。まったく未来の超テクノロジーが登場するのであり、それが星を統治する中枢に入り込んでむちゃくちゃに展開していく様が歴史をみているようであり。とても土の匂いを感じる。あとがきで指摘されるSFと民俗学的な手法のミックスとはまったく目から鱗。佐藤史生、異才。2013/08/20

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