内容説明
ジントとラフィールを乗せた軽武装貨客船“ボークビルシュ”は、一路ハイド星系めざし平面宇宙を航行していた。“三カ国連合”艦隊の撤退により帝国領に復帰したハイド星系を、ジントが伯爵として正式に統治するためだ。だが、故郷である惑星マーティンの領民政府は、頑強に帝国への帰属を拒んでいた。一方、新たな艦種―襲撃艦によって構成された第一蹂躙戦隊もまた、戦技演習のためハイド星系へと向かっていたが…。
著者等紹介
森岡浩之[モリオカヒロユキ]
1962年兵庫県生まれ。京都府立大学文学部卒。サラリーマン生活を経て1991年「夢の樹が接げたなら」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選、同作品が<SFマガジン>誌に掲載され、作家デビューを飾る。入選後は、同誌を中心にシリアスなSF短篇の発表を続け、1996年『星界の紋章』全3巻を、早川書房より刊行。特異な銀河帝国を舞台にしたこの作品は、エンターテイメントの楽しさと、豊かなSF性をあわせ持つ、新しいかたちのスペースオペラとして高く評価され、第28回星雲賞を受賞、テレビ・アニメ化された
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感想・レビュー
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ヴェルナーの日記
70
SFというよりは、アットホームなメロドラマ風な感じがする物語。いわば劇と劇の間をつなぐ間奏劇のような作品に仕上げている。クライマックスは、星界軍による模擬戦闘演習ぐらいだろうか。ただ普段は感情の起伏が少ないエクリュアの意外な一面。スピード狂なところと、その際に歌われる、たぶん物凄い音痴で即興な歌に新鮮な衝撃を受けたことに禁じえない。2016/01/10
こも 零細企業営業
30
領主代行の補佐をしていた際にその星の住人に人質にされたせいで衰弱したジントは休暇に入っていた。かつての友人に会いに行き、お互いの近況を話ながらも思いっきり駄弁ったりして魂の洗濯をしていたが、、彼の故郷に行く際に軍艦に同乗させてもらったら彼の故郷の星系で演習をすると判る。演習中に地上から攻撃をされたが星界軍からしたら演習用の砲弾と思われてしまう威力。彼の父親が伯爵位を獲得する理由になった兵器の砲撃が、、そんなトラブルが有りながらもハイド領は再度彼の物となったが本人は故郷への立入を禁止を約束させられる。2020/03/20
佐島楓
29
ジントとラフィールの関係は安定。しかしジントはある現実に直面する。四巻へ。2016/05/11
ヤギ郎
20
内容をすっかり忘れていたが、どうやら一度読んでいたらしい。〈三ヵ国連合〉との戦闘を終えて、帝国領に復帰したハイド星系をジントが伯爵として統治することになった。故郷である惑星マーティンでは裏切り者として扱われているジントだが、ハイド星系の独立を守るために行動する。立場や地位が異なることにより会えなくなる人たちがいる。それでも、心のつながりは存在する。ジントは伯爵館を維持するための仲間を集めながらラフィールと共に戦禍へ飛び込む。宇宙ロマンのボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー。2020/09/17
クナコ
16
再読3回目。ジントとラフィールは軍に休暇を乞いハイド星系へ向かう。敵の占領から回復されたジントの所領へ。故郷へ向かう旅だが温かい迎えは期待できない。必ず否定される場へ赴くのは辛いだろう。たとえお互い情が通じても、決定的な考え方の相違は往往にしてある。故郷や過去への愛と責任、そして諦念。自己犠牲的な決断だが、年若いジントが、まるで子供のために親権を放棄する父親のように思えた。故郷との関わりに一つの決着をつけたジントには今後は個人としての幸せを期待したい。そして次巻からは星間戦争の群像劇化が進む。2019/05/20