内容説明
いったいなにが起こったというのだろう。まわりの人々の目から正気の輝きが急速に消えていく。精神の退行現象が起こっているようだ。テレビ、ラジオも沈黙したままなにも語らなくなった。町から人の気配が消え、静寂があたりを覆いつくしている。ほかに正気を保っている人は残っているのだろうか…書き下しの表題作をはじめ、しんみり、ほのぼのから、ハチャメチャ、ドタバタまでヴァラエティに富んだ作品11篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
火星人碧
6
近年は長篇小説ばかり目につくカジシンだが、かつてはSFファンの間で密かに人気の短篇作家であったのだ。SFであればシリアスな話も、ホラーも、ドタバタだってなんでもアリの番のプレイヤーだ。デビュー作の「美亜へ贈る真珠」のお陰でロマンチックな作品の好きな人が多いが、ドタバタだって書かせれば無茶な話を書いてくる。「黄泉がえり」で思いもかけず人気作家になてしまってSFファンとして戸惑ったのだが、だからこそ、その後に読めた作品もあるのだと思う。またこうして、たまーに読み返したい。2025/06/23
シュエパイ
5
おお、こっちにもあばれぐいのご主人が顔を出している!フィリッピン関係の話題は、いつの間にか仕事をするうちに普通に共通認識がモテるくらいの知識がついたなー。初めて読んでから、随分と時間が立ったんだなー。ブンガククエストと冷蔵庫がお気に入りな感じ。あでも主題作の怖い感じも好きですよ!そして、一番よかったのは”偶然”のお話!あぁ、ドゥームとかフェートとかがもたらす偶然って、一体どんな感じになっていたんだろうなぁ2016/03/19
hirayama46
4
主に90年代中頃に発表された短編集。RPGやガチャポンを題材にした作品もあり、時代を感じさせますね。ふたつとも80年代からそれなりに流行っていたので、あるいは当時のほうが流行のペースはややゆっくりしていたのかもしれませんね。お気に入りはわたしがスラップスティック寄りの話が好みのためか、「怒りの搾麺」、「"偶然"養殖業」あたりが楽しく読めました。ノスタルジーに寄った「時の果の色彩」あたりも良いものでした。2024/09/04
satsuki
2
「世にも奇妙な物語」のような短編集…と思ったら、まさに「世にも奇妙な物語」の原作があってニヤリとした。『絶唱の瞬間(カラオケ・オブ・デス)』。時代を感じる話が多い。2015/10/02
morisoba
2
短編集。表題作はかなり衝撃的で印象に残ったが、それ以外は……うーん、どうもいまいち。あらすじで「ハチャメチャ、ドタバタ」と表されるものはいわゆるバカ系というか、ゆるーいSFって感じでした。タナカ氏が出てきたのには参ったな。2014/08/19
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