ハヤカワ文庫<br> 山の上の交響楽

ハヤカワ文庫
山の上の交響楽

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  • サイズ 文庫判/ページ数 348p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784150302849
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

山頂の奏楽堂で演奏に一万年もかかる交響楽を演奏し続ける楽団は、演奏開始三百年のいま最大の難所〈八百人楽章〉を迎えていた。前代未聞の楽器製作や大量の写譜に大わらわの楽団員の姿を描き’88年星雲賞に輝いた表題作ほか、書き下ろし中篇「電線世界」など奇想天外で優しい物語6篇収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

宇宙猫

19
懐かしい。本棚のどこかにあるはず。

アルビレオ@海峡の街

14
本書を知ったきっかけは何だっただろう。たしか伴名練氏の「1万字メッセージ」で言及されていたからだと思う。上質な作品(特に短篇)が時と共に散逸し、埋もれていく事を危惧されていた。本書の中で一番のお気に入りは「見果てぬ風」。巨大な二つの壁に挟まれた世界、壁の途切れるところが見たい一心で、歩いて世界の果てを目指す男の話。次に「電線世界」。頭上10mほどのところで繰り広げられる日常。そんなまさかと思える設定ながら、電線の上に人が住んでいるのが当たり前の様に思えてくる。ぜひたくさんの方に読んでいただきたい作品。 2020/12/27

本の蟲

9
1988年の第19回星雲賞受賞の表題作はじめ、80年代に発表された短編6つ。一般にイメージされるSFとは毛色が違って、宇宙もロボットも登場しない「妙な話」「変な話」揃い。素朴な印象で新鮮かつヘンテコ。なによりおもしろい。それもそのはず、作者は「世にも奇妙な物語」の代表的な原作者らしい。作者を知ったのは「日本SFの臨界点」からで、伴名練氏マジ感謝。お気に入りは、思い出を全てなくさないと死ねない世界で、悪戦苦闘する老人「忘れえぬ人」。「彼は元気?」「昼寝をしてるよ」が挨拶になっている妙な町「昼寝をしてるよ」2020/08/16

朔ちゃん

8
日常生活をなにかの拍子にポーンと飛び越えて、摩訶不思議な世界に誘うSF短編集だった。私のなかでは「昼寝をしているよ」がベスト。「見果てぬ風」は世界が渦を巻いていたし、「電線世界」では電線の上で暮らす人々がシュールだったし、「山の上の交響曲」ではバラバラだった意見がひとつの音楽になって奏でられていたし。ありそうでなさそう、なさそうでありそう…で、とても楽しい。どの短編にも共通するのは「人情味」。人間たちが動きだすことにより、物語が紡がれていくのがよくわかる。2021/09/17

unknown

7
【一人の男が一生を費やして書き上げた、演奏に一万年かかる交響曲】を奏する楽団が、演奏開始数百年目に迎える難所を前に様々なドタバタを繰り広げる表題作の<途方もないものが身近にある日常>感が素晴らしい。「忘れること」が出来ないがため死ねない老人、全ての死者の記憶が己の脳に蓄積し続けられる老人、二人の関係をしみじみと描く「忘れえぬ人」はちょっとボルヘス的マジック・リアリズムっぽさも感じる一編。独特のあいさつの背後にある<もう一人の自分>の存在を浮かびあがらせる「昼寝をしているよ」のユルく不思議な味わいもいい。2012/04/28

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