内容説明
フェードルが二度にわたり国家転覆の陰謀を防いでから、はや十年。女伯爵として栄える彼女だが、旧友ヒアシンスを救えずにいることだけが心残りだった。そして、かつて神託が告げた平和な十年間が過ぎた日、フェードルのもとに幽閉中のメリザンドから便りが届く。それは最愛の友とひとりの高貴な少年を救いだすための、想像をはるかに超えた長い旅のはじまりであった…絢爛たる歴史絵巻の掉尾を飾る第三部、いよいよ開幕。
著者等紹介
ケアリー,ジャクリーン[ケアリー,ジャクリーン][Carey,Jacqueline]
1964年、米国イリノイ州ハイランド・パーク生まれ。レイク・フォレスト大学で心理学と英文学の学位を取得。大学在学中に交換留学でロンドンに行き、書店で半年間働いたことをきっかけに、文筆業に入る。2001年に発表したデビュー作『クシエルの矢』で、ローカス賞第一長篇部門を受賞するなど絶賛を浴びた。また同書にはじまるシリーズは多くのファンを得て、現在第8部まで刊行されている。旅を愛し、フィンランドからエジプトまで訪れた経験がある
和爾桃子[ワニモモコ]
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
17
第3部開幕。予言で約束された平穏の10年の歳月が過ぎ、いよいよのラストエピソード。ヒアシンス解放の手がかりと攫われたメリザンドの息子の行方を求めて、フェードルが諸国を動き回ります。いつメリザンドの裏切りにあうのやらと疑心暗鬼に陥る一方、いつになくジョスランとの絆が揺るぎないところは大きな救い…だけど。二人の関係に悲劇を持ってきたら許さないからね!2010/07/02
Kemmel
5
懲罰天使のしるしを持つフェードルを主人公としたシリーズ第3部の1巻目。前作ラストで示された安息の10年が過ぎ、宿敵メリザンドからの助けを求める手紙から物語は動き始める。1部、2部では宮廷陰謀劇に終始した序盤とはかわり、今作では序盤からフェードルが動いてゆく。何者かにさらわれたイムリールを追っていく探索行は、これまでの繋がりやツテをたどってゆくキャラ総出演な展開。10年が経過し、相応の落ち着きを手に入れた感のあるフェードルとジョスランですが、解説の中の著者の言葉に不安がつのります。2011/12/31
t-snow
4
冒頭、地図の広さからこれからの展開の壮大さが伝わってきました。また随分な厄介事ですが、ジョスランが側にいるだけで大分安心して見ていられます、今のところは。メリザンドは子を持って変わったのかもしれないけれど、フェードル説得する手管を見るとまだ怖い。2015/09/26
takave
4
三十路になっても自分から危険に飛び込んでいきそうなあたりさすがフェードルだなぁ。2010/12/30
kogiku
4
クシエル様に対する信仰が揺らいでるフェードル・・・ジョスランと子どもの話を何度もしてるのが意味深に思えてならない。今回は回想口調が鳴りを潜めたのも気になるところ。あとがきの著者の言葉がずしーんと来るよ・・・続きが待ち遠しいけど、いざとなったら開くのが恐ろしいような気がする。2010/08/01