内容説明
天使の血をひく人々の国、テールダンジュ。ここでは、愛の営みは神への捧げ物である。少女フェードルは“クシエルの矢”と呼ばれる印をもって生まれ、それゆえに数奇な運命をたどる。謎めいた貴族デローネイに引きとられ、陰謀渦巻く貴族社会で暗躍するためにあらゆる知識と技術を授けられたのだ…一国の存亡を賭けた裏切りと忠誠が交錯する中、しなやかに生きぬく主人公を描くローカス賞受賞の華麗な歴史絵巻、開幕。
著者等紹介
ケアリー,ジャクリーン[ケアリー,ジャクリーン][Carey,Jacqueline]
1964年、米国イリノイ州ハイランド・パーク生まれ。レイク・フォレスト大学で心理学と英文学の学位を取得。大学在学中に交換留学でロンドンに行き、書店で半年間働いたことをきっかけに、文筆業に入る。2001年に発表したデビュー作である『クシエルの矢(1)八天使の王国』は、ローカス賞第一長篇部門を受賞するなど絶賛を浴びた。ミシガン州在住
和爾桃子[ワニモモコ]
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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羊山羊
18
ドM性癖を持って生まれた少女が、娼婦となって性癖を武器に貴族社会でスパイとして強かに生き抜く性愛ヒストリカルファンタジー。うーん、濃い笑 また、文章も流麗で、知らずのうちに引き込まれて行ってしまう。かなり濃いSEXシーンと痛々しいSMシーンが出てくるけど、それを心底愉しむ主人公のたくましいことといったらない。世界観は結構ハードで、後半になって人がバッタバタ死んでいく。ハードな世界観と、そこを危機に興奮を覚えて飛び込む主人公の無双&エロを楽しむ1冊。こんな1冊なのに女性からの好意的な意見が多いのが心底意外。2020/07/13
アイゼナハ@灯れ松明の火
15
世界設定が物凄くしっかりしてて、読みごたえあり。ローマ帝国が滅びたあたりの欧州をイメージすれば良いのかな?「神娼」が出てくる世界の宮廷陰謀劇だから、もっとドロドロした話を想像してたら、意外にも健気な主人公で良い意味で裏切られました。面白い!夜の世界の描写も手抜きが無いので、好き嫌いが出るかも知れないですが、架空歴史絵巻が好きな方にはオススメだと思いました。2010/02/21
AKI
14
積本崩し(11年物)あらすじに天使の末裔の国テールダンジュを舞台に陰謀渦巻く歴史絵巻とあり、表紙のイラストからの印象で純粋なファンタジーだと思って読み始めたのですが、ちょっと思っていたのと違~う(笑)この国では愛の営みは神への捧げ物という事で娼婦・男娼は神娼と呼ばれ、主人公のフェードルもその神娼でしかも痛めつけられるのが好み(M)という設定。神娼の立場を使って、御主人様の為にスパイの様な 活動をするのですが、まだまだ謎も多く、序章という感じなので、もう少し物語が動き出さないと何とも言えないかな。 2020/06/24
m.murasaki
9
設定の量が半端ないですねちょっとそこに圧倒されかける。あと宮廷陰謀ものなので固有名詞も多くて理解するのがちょっと大変でした。しかし、地固めがすんで話が回り始めると面白くなってきます。しかし、性愛を神聖なものとする宗教と、主人公の少女が娼婦でマゾヒストというのはなんともすごい設定です。それでいてその設定を面白く生かしているのがすばらしいです。2010/08/02
夜の女王
9
☆☆☆ イエスとマグダラのマリアの子供が聖別され、セックスや娼婦が尊敬されてるっていう世界設定が面白い。マゾ性癖のヒロインてのも新鮮です。設定上かなりエグいシーンもあるんだけど、ヒロインに後ろめたさがまったく無いんで、カラッと読めた所も良い。まだまだ導入部。続きが楽しみです。2010/04/11