内容説明
田舎貴族の娘キャザリンは、都に住む伯父に招かれて喜ぶが、“狂公爵”として悪名をとどろかす奇人の伯父に命じられたのは、男装と剣術修行だった!いやいや従うキャザリンだったが、次第に持ち前の豪胆さを発揮し、名誉をかけた決闘を申し入れるまでに。だが時を同じくして、公爵の失脚を狙う陰謀が動きはじめていた…名作『剣の輪舞』の18年後の世界を舞台に、少女剣客キャザリンの青春を描いたローカス賞受賞作。
著者等紹介
カシュナー,エレン[カシュナー,エレン][Kushner,Ellen]
ワシントン生まれ。出版社勤務を経て、1987年に『剣の輪舞』でデビュー。1991年発表の第二作『吟遊詩人トーマス』で世界幻想文学大賞および神話文学賞を受賞。2007年ローカス賞を『剣の名誉』で受賞。ラジオ番組「サウンド・アンド・スピリット」の司会者としても著名
井辻朱美[イツジアケミ]
東京大学人文系大学院比較文学科卒。白百合女子大学文学部教授、作家、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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olivegreen
13
変人振りにも磨きがかかったアレクが読める!でも彼の奇行にはそれなりに理由があるのよね。この人案外身内思い。ハイコムでの師匠とキャザリンの修行生活とか勿論アレクが訪れるシーンとかが好きだった。キャザリンがアルテミシアのそして全女性の名誉にかけて決闘を申し込むシーンには本当に胸を熱くした。ラストの土壇場もアレクらしくてよかった。2010/11/27
すけきよ
4
男装の少女剣士は『リボンの騎士』を思い起こさせるし、いい味出してるアレクはカリビアンのジョニー・デップのイメージ、駒田絹のカバー絵もすっかり馴染んだのに、性の目覚め、女の子同士の疑似恋愛的ストーリーなので、志村貴子絵に脳内変換(笑)。高槻さんにしては、キャザリンは髪が長いか。2008/08/30
空蝉
3
政治色は薄め。しかし、無邪気に恋愛ゲームを楽しんでいる令嬢達の後ろには、家族の思惑がしっかり絡んでいる。ラノベ要素は盛り沢山なのに、読み応えも抜群。そして、案外皆さん親バカ。アレクの『剣の輪舞』での態度の理由が分かる。勿論、主人公のキャザリンも大変可愛い。最初はアレクに振り回されているのに、順応していくのは流石にトレモンテーヌ家の血を引いているからだと思う。2009/12/27
猫足風
3
あの人が本当に落ち着いてしまって、年月の経過を感じます。あの人が誰って?もちろんあの人のことなのですけれどね。前作のアップルソープ師匠といい、今回のヴェンチュラス師匠といい、こういうキャラ好きです。2008/09/10
彩也
2
「男装の麗人」モノだが、「男装の麗人」を男と女の良いとこどりする存在ではなく、女の「社会的理想型」から外れてしまったのに、男にもなれない中途半端な存在として書いている。主人公・キャザリンは女友達の名誉のために剣をとるが、彼女が守ろうとする女性の名誉とは、所謂「名誉」ではなく(この世界、女性にそんなものはない)、人権に近いようなもの。女子供が逃げられない状況で暴力に遭遇する、という話が取り上げられているので読んでて気分が良くなかったりもするのだけれど、最後は上手く丸く収まったのでそれが救い。2011/04/24
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- 和書
- 紅はこべ 世界ロマン文庫