出版社内容情報
謎の球電に魅せられた青年【陳/チェン】は、研究を進めるうち思いも寄らぬプロジェクトに巻き込まれる。〈三体〉シリーズ衝撃の前日譚文庫化
内容説明
激しい雷が鳴り響く14歳の誕生日に、ぼくは別人に生まれ変わった―両親を一瞬で灰に変えた奇怪な自然現象、球状の雷に魅せられた少年・陳は憑かれたように球電の研究を始める。その過程で知り合ったのが、雷兵器の開発に邁進する技術者にして若き少佐・林雲。世界的に有名な理論物理学者・丁儀の助力も得て、最後にたどりついた現代物理学を根底から揺るがす大発見とは?世界的ベストセラー『三体』前日譚!
著者等紹介
劉慈欣[リュウジキン]
1963年、北京生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を執筆。『三体』が、2006年から中国のSF雑誌《科幻世界》に連載され、2008年に単行本として刊行されると、人気が爆発。2015年、翻訳書として、またアジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
69
三体の前日譚ということだがあまり繋がりはなかったように思う。激しいの雷の日、謎の球体に目の前で両親を灰にされた少年・陳。それから彼は憑かれたように球電の研究を始める。彼は雷研究所に勤務する研究者となり、雷兵器の開発を行う若き少佐・林雲とともに研究を進め球電の人工的な発生を成功させるが…。球電を純粋な研究対象と考える陳と電撃兵器化したい林雲。ふたりの思いはすれ違い悲しい結末へと向かっていく。そして最後には物理学界の大発見へと繋がるのだが、私には難解すぎて理解があまり追い付かない部分があったのが少し残念。2025/08/04
ふみあき
68
本作は一応、『三体』シリーズのエピソード0という位置づけらしいが、時間的に先行してるというだけで、特に『三体』に繋がるような内容でもない(ただ「スーパー観察者」の存在が暗示される、という程度の繋がりはある)。主人公一家を襲った嵐の夜の悲劇、そして彼の周囲で頻発する怪奇現象──冒頭から読者のテンションは一気に上がる。が、その後は球電の研究パートが、ひたすら地味に続いて、私は結構退屈してしまった。しかし中盤からラストで、また一気に盛り返すわけだが。もちろんSFなんだけど、結局かなりオカルトっぽい話でもあった。2025/04/08
スカラベ
36
『三体』シリーズの前日譚として描かれる本作は、三体人の登場こそないものの、量子論を基盤に物語が予想外のスケールで展開する。球状雷という謎の現象を追う主人公の執念と、林雲が最後に受け入れる「波」への変化は、科学と人間存在の境界を揺さぶる問いを投げかける。量子力学の「観測問題」──観測されるまで確定しない波動状態──そのものがミステリーであり、作者はそれを物語の核に据えながら、物理法則を詩的に昇華させている。科学の冷徹さと人間の情念が交錯する中、読後には深い余韻が残る。作者の筆力と構想力に改めて驚嘆した。2025/10/22
よっち
26
14歳の誕生日。陳の父母を一瞬で灰に変えてしまった球状の雷。自分の人生を一変させた奇怪な自然現象に魅せられた彼が、憑かれたように球電の研究を始める前日譚。研究にのめり込んでゆく陳と、雷兵器開発に邁進する技術者にして若き少佐・林雲との運命の出会い。研究に行き詰まった二人が助力を求めた世界的に有名な理論物理学者・丁儀と共に、球電の真実に迫る展開で、二人が研究を始めたきっかけが親の死だったのもなかなか業が深いですが、何度もぶつかりあいながら、突き詰めていった先に訪れる何とも鮮烈な結末もまた印象的な前日譚でした。2025/03/19
マッピー
25
『三体』に比べて圧倒的に若書きで詰め込み過ぎなのが気になってしょうがなかった。出だしは面白かったんよ。14歳の誕生日に、目の前で両親が球電によって灰にされた陳は人一倍死を怖れながら、球電に魅せられ、物理学徒となる。ところが軍属の美女・林雲と出会ったところから、急速に物語は加速していく。実験して、分析して、何年もかかりそうな過程はさっくり端折って、何千もの球電を捕獲って、全然現実的じゃない。プロットが足りなすぎる。第一部だけを丁寧に書き込んでくれれば良かったのに。残念。2025/10/03
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