内容説明
遺伝子工学者のニティヤは、薬剤の副作用に苦しむ義姉ウェルガの治療法を調べる過程で業界の不正に気づくが、その調査は困難であった。“機械は同胞”は宣言どおり地球のネットワーク通信網を崩壊させ、高高度ドローンや地球低軌道衛星が一斉に墜落する。かれらの正体は、まだ実現していないはずの意識を持つAIか?ウェルガは、その正体を突き止めるべく奮闘するが…人とAIの労働を問い直す傑作テクノスリラー。
著者等紹介
ディヴィヤ,S.B.[ディヴィヤ,S.B.] [Divya,S.B.]
インドの港町ポンディシェリの生まれ。5歳のとき両親に連れられアメリカに移住。カリフォルニア工科大学で計算神経科学の学士号を、カリフォルニア大学サンディエゴ校で信号処理と高速通信の修士号を取得。卒業後は医療機器やデジタル音楽や通信関係などのエンジニアとして働く。2017年からSFポッドキャスト・マガジンのEscape Podの編集にたずさわり、なんどかヒューゴー賞プロ編集者部門の候補に選出された。2021年に発表した第一長篇の本書『マシンフッド宣言』は、説得力のある未来技術の描写などが高く評価され、2022年のネビュラ賞最優秀長篇部門の候補作に選出された
金子浩[カネコヒロシ]
1958年生、早稲田大学政治経済学部中退、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もち
16
「おまえを友達と呼ぶことにしよう。それどころか親友のひとりと」◆騒動の中でウェルガたちは、かつて暗部に封殺された女性の記録に行き当たる。因縁深い閉鎖地域、宇宙基地への移住権、語り手たちの壮絶な決断。思惑が絡み合った末、新たな視野が産声を上げる。■終盤に入り、急加速。ある人物に起こる苛烈な変化をきっかけに、もう面白くて堪らなくなる。意外な展開の連続から導かれた、拡がりを感じさせるエンディング。地に足を着きつつ真新しい、高評価も頷ける、近未来SFの最新モデルだ。2023/03/25
羊山羊
15
後編はマシンフッドが全世界のネットワークを崩壊(物理)させる大興奮のシーンから!一気に無法地帯と化した地球でヴェルガは奮闘する。ここでマシンフッドの正体と思想が描かれる。機械・動物・人間全ての決定権を同等と捉え、その元に貫かれる監視社会という中々にディストピアな展開。主人公ヴェルガの決断はかなりベタでヒロイック。著者が見せたかったのは、やはり上巻の社会問題への投げかけだったのだろうか?2023/02/27
本の蟲
11
義姉ウェルガの薬剤副作用の原因を調べていた遺伝子工学者ニティヤは、その過程でメーカーの不正と、ある人物の告発文を発見する。そんな中マシンフッド(機械は同胞)は宣言通り、地球のネット通信網は壊滅させた。高高度ドローンや低軌道衛星の墜落。ボットやAIへの不信感。どこの家庭にもある薬剤調合機の使用停止で原始の生活を強いられる人類。ニティヤからの情報である推測を立てたウェルガは、症状の悪化に苦しみながら行動を続ける。マシンフッドの正体と目的は? AIの発展と、対抗して薬物で人体強化する人類社会の行き着く先とは?2023/02/23
BECHA☆
7
マシンフッドの正体はいまだ不明。義姉の体調不良の原因が製薬会社が非公開にして いるデータにあるのでは、とニティヤは仕事仲間と謎に踏み込んでいく。最後の最後まで着地点がどこになるのか考えながら読み進めた。AIとの共存、寄り添うポルケに「華竜の宮」(オーシャンクロニクル・シリーズ)を思い出した。2023/04/09
よしあ
6
後半はどんどん読ませる。ちょっと全てが都合良すぎる感はあるが、いいところで着地した。 表紙のイラストから、ライトノベル?と思ったが、真面目な社会派だった。解説でも書かれているが、近未来のSFは難しい。技術進歩の方向性で陳腐になりやすい。とすると、今が旬なのかも。 シンギュラリティの通過点まっただ中、という位置でしょうか。全ての人がサティアの視点を持つとどうなるのか? 2023/12/26
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