内容説明
ドローンを使った調査により、巨大建造物の内部には、身長120センチほどの太ったカワウソかビーバーのような異星種族クインラン人が、長大な川にそって産業革命以前程度の文明を築いていることが判明する。クインラン人そっくりで自動翻訳機能を備えたアンドロイド、マニーを製作したボブは、それらを遠隔操作し、ウィルやブリジットらの仲間とともにベンダーの行方を求めて探索を開始するが…シリーズ待望の第4弾登場!
著者等紹介
テイラー,デニス・E.[テイラー,デニスE.] [Taylor,Dennis E.]
カナダ生まれのSF作家。大手保険会社でプログラマーアナリストとして働いていたが、50代後半になって、幼いころから読みつづけていたSFを書きはじめた。2015年、最初のSF長篇Outlandを自費出版。その後2016年に刊行された『われらはレギオン1 AI探査機集合体』で、プロ作家としてデビューした。この作品は発売されるや、たちまちアメリカだけでなく世界各国でベストセラーとなった。2017年に勤めていた保険会社を退職し、念願の専業作家になった
金子浩[カネコヒロシ]
1958年生、早稲田大学政治経済学部中退、翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猿吉君
74
レキオン4作目、カワウソとチューブワールドが出てきてSFファンの心を鷲掴みしてます!①ボブヴァースの内乱で幕を開けて最後まで、そして今後もそれがシリーズで続きそうです。②ボブ達が見方によっては神様になって知的生物を導いてくっていうのはちょっと危ない(笑)③いろんなSFのネタをちりばめているのがヲタク心をくすぐります。④カワウソになって尻尾で泳ぎたい!⑤オチには納得。点数85/100→SFとして4作目にしてはお見事、訳が良いのかサクサク読めてボブ達のウイットに富んだ会話がややマンネリですが楽しかったです。2022/12/27
sin
59
閉ざされた人工環境で生きるクインラン人の世界で失われた仲間を見つけ出したボブだったが指名手配を受けてどたばたと逃げ廻るはめに陥ってしまう。それと同時進行でボブらしくないボブのグループが宣戦布告しボブたちの施設に破壊活動を仕掛ける。新しく登場したけんかっぱやくラブリーな異星人やAIの可能性、ボブの多様性により、この物語に継続を予感させる。そして、オリジナルが失われたときそのコピーはオリジナル足りうるか?またコピーされた人格にAIに魂は宿るか?分割・増殖した人格の魂の主体は如何に?いや、本来魂は存在するのか?2022/12/08
ひさか
35
2020年11月刊のHEAVEN'S RIVERを翻訳し、2分冊化して2022年4月ハヤカワSF文庫から刊行。シリーズ4作目の下巻。ようやくボビー達の話が読めて来ました。それなりのテンポで、シリンダー世界での冒険とボビー世界での不協和音による事件の二つが進行していく展開が面白い。上巻の滑り出しが悪かったものの、一気に下巻で巻き返した感じ。自立恒星間宇宙船のマトリクスに収まるボブ達と死んだ人間と称されるコンピュータネットワーク上の教授と意識を持つAIや量子論的制約による複製浮動というアイデアが面白かった。2022/07/22
姉勤
34
生体サイボーグに自身を憑依させての異世界(数百光年先のコロニー)生活が長すぎて、本作世界のシンギュラリティを超えてからの技術の遅延と、カモノハシ人間話の長さが気になった。(困難なき冒険は誠につまらなくなるので分かるが)人間の敵はエイリアンでなく人間というが、自分のクローンコピーが理解できない敵となるのも面白い。人工知性に魂はあるというテーマは、逆に言えば、魂なぞ脳のシナプスのマトリックスの投影に過ぎないとも言える。それとも、自分の肉体に憑いた100年経てない付喪神か。このボブの宇宙の物語は無限に作れるな。2025/01/23
わたなべよしお
23
やっぱりシリーズの中ではイマイチかな。まずはシリンダー状の巨大建造物が何度も使われているアイデアだったこと。「リングワールド」など。さらに生身の肉体を持たない主人公なのに事実上、肉体を持った冒険活劇になった。宇宙が舞台だったのに、巨大建造物の中ではあるけど、これも事実上、陸地(河川含む)が舞台になった~ことなどから、レギオンシリーズの特徴が失われてしまったのではないか。2022/04/11