内容説明
秘密を暴かれた「人類」の生き残りのサーヤは、ステーションを命からがら逃げだした。乗りこんだ船の仲間に助けられ、自分の出自の謎を探ることに。人類は滅亡したというが、サーヤ以外の生き残りがどこかにいるはず。しかし、このサーヤの行動も、オブザーバー類らネットワークを操る高階層知性体の深遠な策略の一部だった―さまざまな知性と銀河宇宙の広大さを強烈なスケール感で描きだす、新鋭によるスペースオペラ。
著者等紹介
ジョーダン,ザック[ジョーダン,ザック] [Jordan,Zack]
『最終人類』がデビュー作となる作家。大学で芸術や音楽などを学び、World of TanksやF.E.A.R.などのゲーム制作に携わってきた。インディーズゲームや音楽も発表している。過去に米国連邦緊急事態管理庁、陸軍、国防総省のプロジェクトに参加したこともある。シカゴに妻と二人の娘と暮らす
中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家、訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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sin
58
クラークの『地球幼年期の終わり』か、はたまたブリンの『知性化戦争』か?上級知性の援助による人類の早すぎる巣立ちは、戦争と滅亡をもたらした。再構築された少女は種族の再興を担って闘いへと身を投じるが…ネットワークの見せる真実とオブザーバー類の語る相反する真実に感傷のままに振り回されあらたな惨劇を招く…人類は上位者に翻弄される被害者か、それとも自由を求める革命家なのか?そして少女は破壊者の称号を手に入れる。2021/05/11
わたなべよしお
18
期待したほどではありませんでした。が、だからダメということではありません。構想力というのか、ワールドを創り出すのは大した才能だし、登場人物たちの造形も良かった。ただ、ストーリーの展開力はイマイチだったかな。とはいえ、これが第1作ということを考えると、次作以降に期待してしまいます。2021/03/20
本の蟲
9
期待通りクッソおもしろかった。阿呆らしいほどスケールの大きいネットワーク知性(しかもこの宇宙に現出しているのは表面の一欠片でしかない)に触れ、精神と知性を拡張されたサーヤは人類滅亡の真相を知る。その背後には一兆のも個体で集合精神を形作るオブザーバー類の影が。人類救済とオブザーバー類抹殺を提案するネットワーク知性。逆にオブザーバー類はネットワークを監獄と呼び、肉体と自由の崇高さを謳い、どちらが正しいのかサーヤの心は揺れる。あらゆる階層が、より上位にとっては矮小な駒でしかないのなら、生きている意味とは?(続2021/04/11
アラム
7
ここまで上巻と下巻の感触が違うのもある意味珍しい。上巻では、ただ一人残された人類の娘のサーヤが同胞を探すスペースオペラ感があったものの、下巻ではその筋に沿って高度知性体であるネットワークやオブザーバー類との対話や争いに焦点が置かれるスケールの増大したハード系SFになった感じで、その分上巻で登場した様々な種族の描写はだいぶ薄くなってしまい、添え物となってしまった感は否めないのが残念ではある。2022/02/26
ノベツ
7
最高。スペオペの皮をかぶったハードSF。上巻は個人のドラマだったが、どんどん世界が広がってゆき、下巻は概念同士の戦いとなってゆく。展開が予想外すぎて一気読み不可避だった。 長文感想⬇ https://note.com/nobetsu/n/nba490553c715 2021/06/12