出版社内容情報
1970年、なにもかもを失ったぼくは、飼い猫のピートと一緒に"夏への扉"を探しにいくことにしたーー。永遠の名作、新版で登場!
内容説明
ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか―新版でおくる、永遠の名作。
著者等紹介
ハインライン,ロバート・A.[ハインライン,ロバートA.] [Heinlein,Robert A.]
1907年アメリカ・ミズーリ州生まれ。1939年に「生命線」でデビューののち、次々と作品を発表。数々の名作を生みだした。1988年没
福島正実[フクシママサミ]
1929年生、1976年没、作家、評論家、翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Apple
139
夏への扉というのは、よい未来へ続くドア、ということなのかなと思いました。時間旅行もののSF小説である本作を読んで感じたのは、主人公ダンのようにコールドスリープを(とくに繰り返したりすると)相当肉体への負担がかかってキツイのではないかということです。ピートという大事な相棒の猫が登場し、主人公(作者?)の猫愛が溢れているわけですが、あんまり猫好きじゃないと同意しかねる部分が多々出てきそうだなと思い、その点ではベルも全く間違っているわけではないかもしれません。ダンはかなり行動力に優れた発明家だと思いました。2022/11/27
ねりわさび
115
1950年代にハインラインが描いたSFロマンス小説。六週間戦争と呼ばれる未来大戦を経て、主人公の一途な恋心が時空を超えて結末へ向かう流れは、現代では食傷気味ではあるのですが発売当時は傑作級のアイデアだったと思います。探索好きの猫の行動がラストシーンへの謎かけになっていて、センチメンタルな物語で印象に残りました。面白かったですね。2023/09/01
いなとも
101
SFの名作中の名作らしいので期待して読んだ。前半はあの裏切者達がもう胸くそ悪いったらないが、中盤からラストにかけては胸のすくような展開。登場人物もそれほど多い訳でもなく読みやすかった。2022/08/31
松本ぼんぼん
99
ずーと前に買ってあった本。山下達郎の「夏への扉」の歌詞の意味が知りたくて。1956年発表(私のうまれる前)のSF。 いや~、小説内の2001年は現実のさらに先を行っているものもありました。話の展開が早くかつ過去・現在・未来が錯綜し一気に読まないと内容がわからなくなります。しかし、名作だけにとても面白かった。 ピート、リッキー・ティッキー・ティビーが何なのかわかり、スッキリしました。今なら映画化されてもいいかなと思いました。時代の変更は必要ですけど。2023/03/15
syaori
85
物語は主人公が親友に裏切られたところから始まります。冷凍睡眠に送り込まれ、30年後に目覚めた彼が「ぼく独特のテクニックの個性を持っ」た発明品の謎を追うことで失ったものを取り戻していく顛末は時間を巡る一捻りがあって引き込まれます。ただ物語としては予定調和で、描かれる近未来も今では郷愁を感じるもの。しかし、未来が「よりよい世界」だったり、裏切られた主人公がそれでも人を信じたりと、人間とその未来への衒いのない信頼が作品全体を照らしていて胸が熱くならずにはいられません。SFの名作として名前が挙がるのも納得でした。2023/12/15