内容説明
1940年のイギリスで現地調査中の三人の史学生たちを、降下点のトラブルが襲う。郊外の屋敷のメイドとして疎開児童らに振り回されるメロピー、デパートの売り子として大空襲をまのあたりにするポリー、アメリカ人記者としてダンケルク撤退時の英仏海峡で命の危険にさらされるマイクル。もとの時代に帰るすべを模索する三人の運命は?SF界の女王ウィリスが積年のテーマを渾身のストーリーテリングで描いた歴史観察SF。
著者等紹介
ウィリス,コニー[ウィリス,コニー] [Willis,Connie]
1945年コロラド州デンヴァー生まれ。1967年、北コロラド大学卒業後、教師をつとめるかたわら小説を発表しはじめる。タイムトラベルSF“オックスフォード大学史学部”シリーズの第1作「空襲警報」(1982)でヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞。シリーズ初長篇『ドゥームズデイ・ブック』(1992)は、ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞の三冠を達成した。1998年発表のシリーズ長篇第2作『犬は勘定に入れません』でヒューゴー賞/ローカス賞を受賞
大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もち
31
「いずれわかる。最後はなにもかもうまくいくから」◆降下点が開かない。防空壕の劇団、幼いパンデミック、命を分かつスクリューの海。激動の戦争体験を乗り越えつつ、3人はお互いの行方を探るべく、1940年の世界を彷徨う。誰もが、歴史からの隔絶に怯えながら。■複数の語り手が紡いでいく各章は、絶妙な場面で途切れ、次の山場へと雪崩れ込む。史学生3人の奮闘ぶりにも心を打たれたが、希望を捨てずに生きる当時の人々の姿も眩しい。分を尽くして命を花開かせる、名もなき英雄たち。その力強い台詞の数々は、真摯さを伴って響く。2017/05/11
たいぱぱ
25
グッと面白くなってきたところで「続く」かよっ!続編『オールクリア』とひとつの物語でした。同じタイトルにしないのは『ブラックアウト』が『灯火管制』、『オールクリア』が『空襲警報解除』という意味だからか~。ということは丸く収まるってことだね(笑)。しかしタイムトラベルを大学生の歴史研究に使うってアイデアは面白いな。誰も思い付かないもん。2017/10/07
chiseiok
24
いつものコニー・スタイルと思って上巻から我慢していた展開のじれったさやら人間関係の煩雑さ、あれもこれもきっと下巻ではパキッと気持ちよく…あれ…でもあんまし来ないなー…と思って読み進んでたら、そのまま『オール・クリア1』につづく…って、お、ぉお~い!wでも文庫六分冊(多分)のこの超大河ドラマ全体で云ったら、まだまだ序盤なんですもんねー…941ページあるけどw。こんなに読んでて消耗したのに続巻文庫に降りて来たらまた喜んで読んじゃうのかな。果たして『オール・クリア2』読了の感想を書く日は来るのか?自分w。2015/09/06
Small World
22
淡々としていても面白いコニー・ウィリスですが、同じ「オックスフォード大学」シリーズでも、『犬は勘定に入れません』よりも『ドゥームズデイ・ブック』に近い怖さが潜むストーリーです。仕事が片付かずスローペースの読書になっているのが残念ですが、やっぱり読んでいて楽しいです。オックスフォードとは途絶したままなのは不安ですが、主要人物たちが出会えてよかった.....。って、あれ?『ブラックアウト』としてのまとまりがあるわけではなく、本当に普通に物語の途中w 急いで『オールクリア』に進みます!2020/08/05
メセニ
18
下巻に入り物語は一気に動き始める。調査のため第二次大戦下のイギリスにタイムスリップしていた三人の史学生は、それぞれにトラブルに見舞われ始める。自分たちの知る由ない悲運な出来事の連続に高まる緊張感。若干の湿り気を帯びながらどんどん捲られていく頁。詳しくは書けないけどめちゃくちゃ良い所で本書は終わってしまう。というか完結せーへんのかーい!さて、続編の『オールクリア』が手元にあるかと言えばそんなわけもなく、今日立ち寄った書店にも見当たらず…。というわけで暫しのおあずけ。ひとまず現実への帰還である。2018/06/19