内容説明
世界のすべてを陰でコントロールする組織の存在を知ってしまった男は!?マット・デイモン主演の同名映画の原作をはじめ、デビュー作「ウーブ身重く横たわる」、初期の代表作「にせもの」(映画化名『クローン』)から、中期・後期の傑作。さらに1972年執筆の幻の短篇「さよなら、ヴィンセント」を初収録。ディックが生涯にわたって発表した短篇に、エッセイ「人間とアンドロイドと機械」を加えた全13篇を収録する傑作選。
著者等紹介
大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
64
短編集でゆっくり読んだせいか始めの方の内容を忘れてしまったよ。よくわからないおちのものも、詩情のようなものを感じたものもあった。まぁ、この分野は、初心者なので、また、読んでみよう。2017/08/22
ゆかーん
55
映画の『アジャストメント』に魅入られて、読んでみました。映画はかなり肉付けされた内容でしたが、原作はとてもシンプル。恋愛要素はほとんど無く、現実の裏側を見た主人公のエドが、本当の世界に翻弄される物語でした。映画も小説もそれぞれの良さがあります!その他の作品も、さすがフィリップと言いたくなるものばかり!しかし、全て短編なのが残念なところ…。盛り上がってきた所で終わってしまうので、長編小説にしたらもっと楽しめそうな予感がします。著者が亡くなって30年…。今でも彼の作品を愛するSFファンがいることに納得です!2016/05/22
催涙雨
52
他のいくつかの短編集とも迷うところだけど、たぶんディックの短編集のなかでもっとも多く好きな短編が収録されているのが本作。自分でひとつだけ短編集を編めるとしたらここから「にせもの」「凍った旅」「くずれてしまえ」「電気蟻」の4編は入るでしょう。この時点でシリーズとして続刊する予定があったのかは知らないしいくつかの事情が重なった偶然の産物なのかもしれないけど、後のためにヘッドライナーを任せられる有名な短編を残しながらディックの魅力をあますところなく伝える名作が揃う、選集の第一弾にこのうえなくふさわしい一冊です。2021/04/27
藤月はな(灯れ松明の火)
35
adjustment「管理」。そんな名の表題作は自分たちの生活を円滑に支配する巨大な「何か」を知ってしまった男の混乱を描くというスパイ小説のような怖さが味わえます。デビュー作の「ウーブは身重く横たわる」の知能を持つウーブと人間の問答という「知性」についてのテーマとブラックユーモアの混じった完成度の高さが凄すぎます。個人的には「宗教は麻薬」という共産主義を皮肉った「父祖の信仰」がお気に入りです。2013/02/01
友和
29
ディック短篇集の第1巻。どれも読みごたえがありも映画化された「にせもの」がヒトかアンドロイドかわからないテーマがよかった。2015/02/24