内容説明
21世紀初頭、遺伝子改変技術により睡眠を必要としない子供たちが生まれた。高い知性、美しい容姿だけでなく驚くべき特質を持つ無眠人は、やがて一般人のねたみを買い…「新人類」テーマの傑作と高く評価され、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル読者賞を受賞した表題作をはじめ、ネビュラ賞、スタージョン記念賞を受賞し、“プロバビリティ”3部作のもととなった「密告者」など全7篇を収録。
著者等紹介
クレス,ナンシー[クレス,ナンシー][Kress,Nancy]
1948年生まれ。ニューヨーク州の田舎町で育ち、ニューヨーク州立大学を卒業後、4年ほど小学校で教える。結婚を機に仕事をやめ、子育てのかたわら大学に戻り、教育と文学の修士号を取得。1981年にThe Prince of Morning Bellsで長篇デビュー。1991年アシモフ誌に発表した中篇「ベガーズ・イン・スペイン」でヒューゴー賞、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、SFクロニクル読者賞を受賞。1996年同じくアシモフ誌に発表し、ネビュラ賞、アシモフ誌読者賞、スタージョン記念賞を受賞した中篇「密告者」の世界をもとに作り上げた『プロバビリティ・ムーン』にはじまる3部作を2000年から発表。第3作『プロバビリティ・スペース』は2003年のジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
65
能力体力ともに優れ、全てを合理的に考える、眠らないデザインベビー達と人類の軋轢と苦悩を描く表題作とそのB面である『眠る犬』。新人類であるリーシャが妹、アリスへの言動は自分が特別であることを無意識に確定された上での行動であり、傲慢でしかありません。『密告者』はデカルトの「我思う故に我あり」とフィリップ・K・ディックの論理の融合だったのでシリーズが読みたい。『ケイシーの帝国』の自意識過剰さに背負投したくなる痛さがあり、絶叫^^;生命倫理か自由意志かを問いかける『ダンシング・オン・エアー』は締め括りにふさわしい2015/07/15
ざるこ
46
7篇。遺伝子の改変により睡眠が不要な子供が生まれる「ベガーズ・イン・スペイン」高い知性を持ち社会的成功を収めるが、眠りを要する一般人の妬みは日増しに大きくなり無眠人たちの居場所はなくなっていく。同じ人間と言えるのか?連作の遺伝子操作犬が起こす事故に翻弄される家族の物語「眠る犬」の方が狂気が伝わってきてよかった。全体的に状況は変わっていくのに説明が後付けという文章がイメージしにくくて読みにくい。「ダンシング・オン・エア」バレエダンサーの生体能力強化というのは現実的。代償を払っても極めたい人はいると思う。2020/05/13
GaGa
24
無眠人という新人類を扱った表題作と「眠る犬」、「密告者」なども良かったが、私が一番好きなのは「ダンシング・オン・エア」作者のテーマなのか、ほとんどの作品に肉親へのつながりが描かれており、SFのスタイルを取った純文学作品のような短編集。2010/09/10
就寝30分前
18
最初の数行で、あー訳本だーと思った。『・・・消極的な意味で抵抗している。』って普段使いの言葉じゃない! ただ話は面白い。遺伝子操作で生まれながらの天才。無眠人で限りなく不死。本人の意志に関係なく、そりゃ嫉妬されて差別される。そんな中、無眠人の中にも有眠人に対抗する者と協働を望む者双方が出て来て・・・。オチは無くてもSF映画の王道を観ている感じでした。けど眠れないのは嫌だなー。気持ちのリセットが出来ない。2015/08/24
マリリン
16
クレス作品は初。収録された作品により訳者が異なるものもあり、それによって印象が違った感を持ったかもしれないが、表題の『ベガーズ・インスペイン』と共に、無眠人を絡ませた『眠る犬』は印象深い。「人の心を一つにまとめておいたり、ばらばらにしたりするものって何だろう...」特にこの言葉。『密告者』『思い出に祈りを』『ダンシング・オン・エア』...。それぞれ今の時代に対し何らかの提示を感じた。2018/06/21
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