ハヤカワ文庫<br> 宇宙飛行士ピルクス物語〈上〉

ハヤカワ文庫
宇宙飛行士ピルクス物語〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 414p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784150116804
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0197

内容説明

宇宙飛行士養成学校の訓練生として、ピルクスがはじめて単独での宇宙飛行に挑んだ顛末を描く「テスト」、月の観測基地に連続して起こった惨事に隠されていた、人間と機械とのドラマを語る「条件反射」、隕石落下事故により人工頭脳に障害をきたして殺人機械と化したロボットとの死闘「狩り」など、巨星レムがシリアスな設定のなかにも、アイロニーとユーモアをまじえて、大宇宙に生きる男の冒険の数々を描いた傑作連作短篇集。

著者等紹介

レム,スタニスワフ[レム,スタニスワフ][Lem,Stanislaw]
1921年、ポーランド領(現ウクライナ領)リボフに生まれる。46年にクラクフに移り、大学で医学や哲学、理論生物学などを学ぶかたわら執筆活動をはじめる。51年の『金星応答なし』で一躍人気を博する。以来、宇宙版ほら男爵冒険譚ともいえる「泰平ヨン」シリーズや、『ソラリスの陽のもとに』『砂漠の惑星』など、独自の批判的視点と想像力に満ちた話題作を次々に発表しつづけ、SF界で不動の地位を築いた。2006年死去、84歳

深見弾[フカミダン]
1936年生、1958年早稲田大学文学部卒、1992年没。ロシア文学研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ニミッツクラス

32
08年(平成20年)の税抜840円の青背初版。先発80年の同社海外SFノヴェルズを2分冊した上巻で6話収録。連作短編集なのに上下巻という表現は長編のようで紛らわしい。レムテーゼの薄い、万人受けする作品群で、泰平ヨンやロボ宙導師より俄然読み易い。巻頭はピルクス訓練生による宇宙艇の試験飛行話。カーク船長が候補生時代にチョンボでクリアした“小林丸テスト”を思い出す。宇宙船や設備のメカニカルサスペンス2話も良く、遭難レスキュー物1話と人工知能物2話も胸を打つ。訓練生から一等航宙士(貨物船の船長)まで。★★★★☆☆2023/05/26

roughfractus02

7
人工知能が人間に近づいても人間と機械の関係は変わらない。変わったと思うのは人間の希望的解釈なのだ。練習生時代からベテラン宇宙飛行士になるまでの主人公を連作短編で教養小説的に綴る本書は、その一方で主人公が成長しても変わらない人間とテクノロジーの関係に焦点を当てる。1968年刊の本書が描く技術は確かに古びて見えるが、自らのコピーのように解釈する人間とは異質なものとして機械が描かれるからだ。本書では、人間の判断やヒューマン・エラーと同時に、五感なしの心理実験や殺人機械の合理性のような機械の異質さが強調される。2019/01/04

AR読書記録

7
元落ちこぼれ訓練生のピルクスくん、それなりに経験を積んだあとはなかなか頼もしい活躍ぶりを見せてくれるけど、でもどんな危機も困難も乗り越えるヒーローってわけじゃなくて、というか、宇宙はそんな簡単に人間ごときに征服されるものじゃなくて、だから、宇宙の危険、科学技術の穴、そうした厳しい現実の目撃者となることしかできない場合も多い。どれだけ科学が進んだ時代でも答えは出せないものはある。そういう視点は好きだな。2015/10/19

斑入り山吹

7
すごく良かった。ああいうひねり、読者をニヤリとさせるやり方が好き。テルミヌス、名前だけで予感させる。ああジーン・ウルフ『新しい太陽の書シリーズ』はテルミヌス・エストか…。しかしこの本が1971年に書かれたとは俄かには信じ難い。翻訳が新しくなったからその凄さがよく分かるのか。レム氏のAI、システムに対する考え方がしっかりはっきりしていて凄いのだ。もちろん人物に対する考察も。とはいえラブはこれっぽっちもありません。ラブ入れりゃ盛り上がるだろ?という安易さはないです。さすが。2011/04/25

計算

6
緻密に創造した世界を偏執的とも言える筆致で書き上げて行くレム節がいかんなく発揮され、さらに、運命は戦って切り開くものではなく、不可知の領域は人間の英知によって征服されるものでもなく、そもそもそれらが交わると考えること事態が人間の過誤なのだというようなレム独特のテーマも織り込みつつ、読みやすく仕上げた短編集です。一番の見所はやっぱり「条件反射」でしょうか。100ページに及ぶ文章のかなりの部分を使って描かれる月面の姿は圧倒的。フィルムや写真を見るよりも、もしかすると自分がそこに立つよりも生々しい。2008/12/23

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