内容説明
アメリカ西海岸沿いの小都市サンタ・マイラで、奇妙な現象が蔓延しつつあった。夫が妻を妻でないといい、子が親を、友人が友人を偽物だと思いはじめる。はじめ心理学者は、時おり発生するマス・ヒステリー現象と考えていた。だがある日、開業医のマイルズは友人の家で奇怪な物体を見せられた。それは人間そっくりに変貌しつつある謎の生命体―宇宙からの侵略者の姿だったのだ!奇才フィニィが放つ侵略テーマSFの名作。
著者等紹介
福島正実[フクシママサミ]
1929年生、1976年没、作家、評論家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
71
侵略系SFの代表作で恩田陸さんの『月の裏側』の元ネタをやっと読みました。入れ替わった人に接した家族が「アレにはその人自身にあった感情の芯のようなものが全く、見当たらない」という部分に一番、ぞっとしました。感情の記憶を参考に感情らしいものを出す人間のような侵略者は伊藤計劃氏の『ハーモニー』の人間みたい。周囲から隔絶されている街でじわじわと人間ではなく、別の存在へ入れ替わる異変はキングの『呪われた町』や小野不由美さんの『屍鬼』を思い出します。そのため、SFというより、ホラーに近い読み心地でした。2015/02/05
催涙雨
62
作品そのもののイメージを決定づけるようなひとつのアイデアの力で読ませる古い娯楽小説はそのアイデアが一般化すると、面白味よりも数ある後発の原典としての価値のほうがどうしたって強くなる。一番の妙味であるアイデアに対して斬新さと衝撃を感じ打ち震えるような経験はもはや叶わぬことなのだ。着想の面から受ける印象はそれほど強くないが、生物として生きる理由を莢の主張から、そのなかでも人間として生きる意味合いをベッキィとの関係性から、生命のもつ目的について静かに語りかけてくるようなイメージは今も色褪せない魅力と言える。2019/05/15
GaGa
54
再読。私が活字で初めて読んだSF作品。すでに映画とかになっていたのだけれど、もうページをめくる手が止められなくて必死になって読んだ本(笑)今でも侵略SFの古典として十分に楽しめる。特に若い人で未読の方は是非一読あれ。2013/08/01
拓也 ◆mOrYeBoQbw
52
SF長篇。ヒューマンハックSFのパイオニアで金字塔とも言える傑作です。『ゼイリブ』『寄生獣』『仮面ライダーカブト』『映画版クレヨンしんちゃん』とその後の入れ替わりSFの雛形とも言え、上記以外の様々な作品にも影響を与えています。この手の1ジャンルを確立した作品を読むと、単純にSFという枠に留まらずホラー、ミステリーそして何より純文学的な緻密で繊細な作りと完成度の高さを寧ろ感じる時が私の場合は多いですね。定番なストーリーではありますが、改めて読むと色々学ぶことが多い作品だと思いますー(・ω・)ノシ2017/04/28
みっぴー
47
〈"盗む"フェア第一弾〉ジャック・フィニイの『盗まれた町』です。映画化は4回みたいです。自分の親や学校の先生が、突然別人になってしまった?顔も声も全く一緒なのに、どこかが違う。。。なんかキングの話にありそうだな、と思いながらも、展開が読めないし、緊迫感が尋常でない、誰が敵か分からない、ギリギリの心理状態…いやぁスリリングで面白かったです!閉鎖された『町』の醸し出す絶望感たるや…最後まで希望を捨てず、あがき続ける主人公を見て、勇気が出ました。文句無しの面白さでした。2017/10/09
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