内容説明
1951年、サウンド諸島で休暇中のウルリックが誘拐された!目の前で夫を連れ去られたウーナは、魔術を駆使して夫の跡を追う。だが、大渦巻きをくぐりたどり着いたのは、異世界のアメリカだった。そこで、ロングフェロウが“ハイアワサ”と呼んだインディアンの英雄アヤナワッタと、カカタナワ族のもとで修行中の少年ホワイト・クロウと出会ったウーナは、誘拐犯が向かった全多元宇宙の源、スクレイリングの樹をめざすが。
著者等紹介
ムアコック,マイクル[ムアコック,マイクル][Moorcock,Michael]
1939年イギリス生まれ。1961年、エルリックものの最初の短篇である「“夢見る都”」を「サイエンス・ファンタジイ」に発表し、斬新なキャラクター設定で読者を瞠目せしめる。続いてホークムーン、エレコーゼ、コルムなどエルリックの転生ともいえる主人公たちのシリーズを立て続けに発表、“永遠の戦士の世界”を作りあげた
井辻朱美[イツジアケミ]
東京大学人文系大学院比較文学科卒、白百合女子大学文学部教授、作家、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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azuemu
8
作者は書いてて楽しいだろうな。自分の創造した世界を実世界の神話や人物とくっつけて弄るのは最高の遊戯だと思うし。時間も空間も超越しているから一切の制限がない。今回多元宇宙の根幹へと赴く冒険行なのだけど、実に抽象化された光景が延々と続く。物語ってのは結局、内的世界、精神の在りように行きつくものなのか。哲学とか? 理解しているともう少し楽しめるかもしれないけど、私は文字を追いかけるので精いっぱいだった。あまり戦闘描写も具体的ではなかったし、終始何をどうすれば解決なのかも読んでて見当つかなかった。2025/08/09
とし
7
エルリック・シリーズの後期三部作の2作目。前作はヒトラー時代のドイツだったが、今回は「エルリック北米へ行く」の巻。ネイティブアメリカンの世界なんだが、夢で繋がる多元宇宙に「時間」の観念は相対でしかなく、3人の主人公たちの「旅」はすごく幻想的で叙情的な雰囲気のなかで紡がれてゆく。「アリオッホ、アリオッホ」と邪神の名を叫んで暴れていた昔のヒロイックファンタジーの方が個人的には好きなんだが、エルリック自体がほぼゲスト扱いだし、今回はちょっと別物かなあ。2017/02/28
しまっち。
6
ウーナ、エルリック、ウルリックそれぞれの視点から語られる物語。はじめのウーナの章がどうにも読みにくくてなかなか進まなかった。エルリックの関わりは千年の夢の一部、もうこうなったらいくらでも話はできちゃうのね。ホワイト・クロウの正体やら最後に一気に収束していくところは見事だと思う。2017/12/06
スターライト
6
過去と現在と未来。生成と消滅。前巻でエルリックらによって葬られたと思われたゲイナーとクロスターハイムが、再び登場。第二次世界大戦後に時代を移し、愛する夫ウルリックを誘拐されたウーナが、彼の行方を捜すところからストーリーは始まる。そしてウーナ、エルリック、ウルリックの視点から出来事が語られ、後半になって一つになる。アメリカ先住民の世界が、夢幻の様相を帯びるあたりはムアコックの手際の良さか。読者はめくるめく豊饒なイメージに幻惑されながら、心地よく本を閉じることになる。至福の読書時間。2012/07/04
鐵太郎
6
前巻の「夢盗人の娘」の続きですね。主人公は、ウーナとウルリック・フォン・ベック伯爵夫妻。そしてエルリック。新世紀のエルリックは、もはや過去のヒロイック・ファンタジーではありません。時間と空間を越えて、法と混沌と、それを統べる天秤。「アメリカでの白子の物語」は、あと一冊あります。2007/11/17