内容説明
家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。水晶たちが夢をみるとき、人や動物や植物が生まれる―モネートルはそれを利用して、己の野望を果たそうとしていたのだ。そのことを知ったホーティやカーニヴァルの団員は、恐ろしい運命の渦に巻きこまれていく。幻想SFの巨匠がつむぎだす珠玉の名品。
著者等紹介
スタージョン,シオドア[スタージョン,シオドア][Sturgeon,Theodore]
1918年ニューヨーク生まれ。高校卒業後、3年の船員生活の間に、雑誌に短篇小説を投稿しはじめる。1950年、第一長篇である本書を発表。1953年の『人間以上』で国際幻想文学大賞を受賞し、1970年の短篇「時間のかかる彫刻」はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。数多くの不思議な味わいを持つ傑作を残し、1985年没
永井淳[ナガイジュン]
1935年生、1958年埼玉大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
79
タイトルの通りなのだが、物語の基本として宇宙の何処かから地球に来た、宝石の様な生命体が存在する。彼が夢を観ると、水晶で構成される生命体が生まれる。この生命体には、人間と区別がつかない様な者がいる一方、何なのか判断がつかない生命体も生まれる。この水晶の生命体を利用して、地球上に混乱をもたらそうとする悪意が存在し、ある種の争いを基本にした物語が展開する。孤独と集団というテーマが、本作にも漂っているのだろうと感じるが、正直解らない。固定観念に縛られているうちは、理解出来ないと言われている様にも感じるがお手上げ。2021/03/29
kokada_jnet
64
スタージョンの作風は要するに「ガロ系」ということだと思うのですが…。そういう風に語る方が、あまりいないのが、不思議なのです(スタージョンも『ガロ』も、どちらも大好きなワタクシとしては)。2024/12/04
みっぴー
49
◆たまにはSFに挑戦しようと思って読んでみました。ーー◆難解…。SFをベースにした科学的ごった煮。〝宝石が夢を見て人間が生まれる〟設定がよくイメージ出来ませんでした。SFを読み慣れていらっしゃる方にとっては魅力的な作品なのかもしれません。サーカスが舞台なのはとても魅力的。しかし物語の核となる水晶の能力がよく分からなかったため、悪玉の能力や目的も、連鎖的に理解不能に。SFの経験値上げて、いつかまた読み返したいです。2017/02/14
sei
22
宝石が夢をみるとき、何かが生まれる。その不思議な営みに触れた、虐げられた者たちの物語。孤独と優しさ、マイノリティの感情を、非人間的な事象と絡めて幻想的に描き出すスタージョンの作風に、すっかりハマってしまった。世間から外れても居場所はある。優しさを失わず孤独と向き合い、世間に依存しない豊かさを、信じて生きる者がいる。固定観念に縛られている間は理解できない、美しい心を想う読了後だった。2024/10/13
TSUBASA
21
ホーティは養父母たちに虐待を受けて大けがを負う。小さいときからの唯一の宝物である人形を手に家出をし、旅芸人の一団「カーニヴァル」に引き入れられ、そこで新たな生活を始める。人形の眼に使われた2つの宝石がホーティの運命を左右する物だと知らないまま。ファンタジックな内容と見せかけて結構痛々しい描写とか生々しい表現が多くて読むのが若干辛かった。スタージョンという人は無邪気にそういうことを綴ってしまうから魅力的らしい。「スタージョン作品を楽しむにはまず一度狂ってから読むと良い」というのに納得。2015/10/29
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