内容説明
アイオワ州に未確認飛行物体が着陸した。その調査におもむいた捜査官六名は行方不明になってしまった。そこで、秘密捜査官サムとその上司、そして赤毛の美人捜査官メアリは、真相究明のため現地に向かう。やがて、驚くべき事態が判明した。アイオワ州の住民のほとんどは、宇宙からやってきたナメクジ状の寄生生物にとりつかれていたのだ。人間を思いのままに操る恐るべき侵略者と戦うサムたちの活躍を描く、傑作冒険SF。
著者等紹介
福島正実[フクシママサミ]
1929年生、1976年没、作家、評論家、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐々陽太朗(K.Tsubota)
87
地球侵略ものSFの名作。異生物に世界を蹂躙されると考えるだけで気分が悪いのに、その異生物たるやナメクジのような形状をしており、それがまるで蛭が人間にとりつくが如く背中に張り付いて、人間の脳をあやつり乗っ取ってしまう。そしてどんどん増殖していくという不気味さがこの小説の味わいどころだ。さらに取り憑かれ乗っ取られた人間であっても、服を着てしまえば通常の人間と見分けがつかないという猜疑心と恐怖たるや半端ではない。2017/02/11
榊原 香織
65
ハイテンション気味(”夏への扉”もそーだった) 宇宙生物侵略テーマの古典。 1951年の作品。ソ連に対するイヤミがやや笑える。冷戦真っ最中だしハインライン反共だから2023/01/26
yamatoshiuruhashi
56
「夏への扉」の映画を観てハインラインは面白いと改めて思った。福島正実訳で他に読みたいなと検索して発見。宇宙生物に侵略されるお話の一つ。中学生の頃以来の再会で、詳細すっかり忘れていてまるで初めて読む感覚。「盗まれた町」との混同記憶もあったが、今回これでスッキリした。ナメクジのような宇宙生物に取り憑かれた人間はその個人の能力はそのままに、すっかり人格そのものをナメクジに乗っ取られる。これを早期に撃退しようとするのだが民主国家の意思統一は難しい。ナメクジをCOVID-19に置き換えると現況にも似てくる。2021/09/07
スター
50
男性の一人称によるユーモラスな語り口、福島正実訳という共通点があるせいか、同じ著者の傑作「夏への扉」同様楽しめた。 発表は1951年だが、舞台設定は2007年で、この作品の2007年は、空飛ぶ車が普及しており、地球人が金星に入植しているが、ソ連がまだ存在している。 主人公はアメリカの諜報機関に所属しているスパイで、地球を狙う、宇宙から来た知的生命体と戦う顛末を描いたストーリー。2020/05/22
のれん
22
ハインラインの傑作の一つとして名高い、宇宙人侵略もの。人間への寄生見破るために上半身裸を強制しようとあれこれするのが面白く深い。 当時としては個人主権への侵害、テレビのみの情報統制を考えるものだったのだろうが、現代ではさらなる深読みができる。現実は今作よりも民主主義は不完全だし、情報過多により宇宙人侵略は容易だろう。 そんな恐怖に対して、古臭いマッチョイズムな父と息子のタッグで戦うのは面白い。ウェットな女性、反共描写とかも時代を感じるが、根本のエンタメSFパニックの原典であることに異論はない。2022/07/17