内容説明
1962年の晩夏、小麦畑で寝ころがっていた少年マイクとその弟ダニエルは、空飛ぶ円盤を目撃し、ふと気がつくと秋になっていた…40年近くが過ぎ、CM監督になったマイクと英文学教授のダニエルは、二人とも死んでいた。だが、どちらも死んでいることは自覚していない。二人をそれぞれに訪れた謎の男タカハシが、疎遠になった兄と弟にお互いを見つけだすように脅すが…P・K・ディックの後継者と評される著者の話題作。
著者等紹介
オリアリー,パトリック[オリアリー,パトリック][O’Leary,Patrick]
1952年9月13日、ミシガン州サギノー生まれ。州立ウェイン大学でジャーナリズムを学ぶ。詩を北米の文芸誌に何篇も発表している。1995年に発表した第一長篇『時間旅行者は緑の海に漂う』は、90年代のフィリップ・K・ディックを思わせる作品と評され、好評を博した。オリアリーの小説は、ドイツ語、フランス語、ポーランド語などに翻訳され、ロシア語版も出版される予定。広告代理店でアソシエイト・クリエイティヴ・ディレクターとして働くかたわら、詩や小説を発表しつづけている。デトロイトで妻クレアと二人の息子と暮らしている
中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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Mark.jr
4
読む前は勝手にもっとパルプでステレオタイプなSFを想像してたのですが、意外とストレンジ且つそれこそ引き合いに出されているPhilip K Dickのようなこちらの認識も揺るがしてくるような幻惑感もあって、かなり好みでしたね。2025/07/02
けいちゃっぷ
2
“死”も“飢え”もない世界というのはユートピアなのだろうか。 それとも、地獄なのだろうか。 2006/09/11
釈聴音
1
ディック的な「自己の存在の基盤が揺るがされる不安感」は意外と早い段階で解消され、作品世界の謎はあっさりと説明されてしまう。SF的な小道具は使われているが、むしろ古典的な兄弟の対立と和解の物語のバリエーションというべきだろう。2012/02/06
unknown
1
死ぬ前の過去ではなく、死んだ後の未来を見る走馬灯。"死"の仮想世界を舞台とした、兄弟の邂逅と和解の物語。2010/04/24
いちはじめ
1
神林長平の解説目当てで買ったが、なかなか面白かった。死んでいるのに気付かない兄弟の話……と要約してしまうとこの作品の良い部分に触れられないし、細かくいうとネタバレになるし、困ったもんだ。ちょっと不思議な読後感。2003/07/15