内容説明
ソフトウェア・デザイナーのマリア・デルカは、思いもよらぬ申し出を受けた。天才的人工生命研究者ランバートが考えだした人工宇宙―オートヴァース内に、ひとつの惑星全体と、さらには高い知能をもつ生命体に進化する原始有機体を設計してくれというのだ。だが、地球にあるすべてのコンピュータの計算能力をあわせても、走らせることさえできないプログラムを作る目的とは…?90年代最高の作家イーガンの話題作。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
催涙雨
51
最初に宇宙消失を読んでからイーガンの長編を読むのは一年ぶりになる。宇宙消失よりこちらのほうがだいぶ難しかった。個人的には下巻の流れはそれほど好きではないのだが、全体を通した本筋を改めて振り返ると上巻がある種の導入であることにはうなずける。切り口は異なるが短編で頻繁に見られる自己同一性テーマと共通点が多い。世界観の構築とそのなかで昇華されるテーマの構図は見事としか言いようがない。人格のコピー以外に共通点はないが、なぜかターミナル・エクスペリメントを読み返したくなった。2020/09/28
GaGa
44
現実世界の人間が擬似空間へと迷い込む(あるいは何ものかによって作為的に送られてしまう)というようなSF作品はすきなのだけれど、登場人物がすでに何ものかが創造した擬似空間の住人で、また、そのことを自覚しているというスタイルのSFはネットワーク社会の昨今、割と多いのだが、正直苦手と言うか好みの話ではない。本作も同様に心から楽しめなかった。2011/02/12
亮人
27
10年位ぶりの再読。友人に貸すために本棚から出してきた。なので今回は難解な描写もすべて理解するつもりで読んだ。前は「塵理論」が意味不明ってだけの印象だったが、今回はなかなか理解できたかも。塵に宇宙を走らせるとか、普通は思いつかない奇想で面白い。初期長篇は「主観的宇宙論三部作」と呼ばれているが、たしかに知性が認識することで宇宙の姿が固着されるとか、初期長篇のテーマの共通性も読み取れたよ。2016/06/02
Small World
27
いや~、なんか凄いのを読んでしまった。w ギブソンのギミックを用いつつ、ディック的なアイデンティティーの喪失をスパイスとし、クラーク的な主題を、ベアのミクロを包括したマクロな視点で語る....みたいなw 自分の想像力を超えるスケール感を感じさせるのがSFの醍醐味だとすれば、イーガンはまさにSFでしたね。その他の作品も読んでみたいです。2016/01/31
fukumasagami
24
「ここの太陽はあと十億年もすれば燃えつきる。わたしが約束したのは、不死なんですよ」2024/03/07