内容説明
メルポメネーは13歳。地球‐火星間を巡る小惑星改造船で暮らしている。文章を書く才能は誰もが認めるところだが、おかげで担任の先生に大変な仕事を頼まれてしまった。地球の人たちにここの生活を紹介する本を書けというのだ。さあどうしよう。とまどい悩みながらも彼女は書きはじめた。ほんの一年前に体験した小さな「戦争」のことを…宇宙育ちの少女の心の成長をみずみずしい筆致で描く、さわやかな青春冒険SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山川欣伸(やまかわよしのぶ)
23
宇宙船に生まれ育った13歳の少女メルポメネー・マレイの視点から語られる、未来の宇宙社会を描いた作品です。 本書の魅力は、異なる環境で育った人々の理解と共感をテーマにしている点にあります。メルポメネーの日記は、宇宙船での生活がいかに独特であるか、そしてそれが彼女の人格形成にどのように影響を与えているかを示しています。彼女の視点から見た宇宙船内の教育システムや、7200人の乗員の中での彼女の役割といった具体的なエピソードは、地球しか知らない私たちに新たな視点を提供してくれます(続く 2024/04/30
鐵太郎
19
ガンダム世界に似ています。宇宙に住むスペースノイドと地球人との乖離、戦争、ある目的のために優性学的に生まれ、育てられた子供たち。価値観の違いと新時代への対応の仕方の違い。そうか、近未来SFってそういう方向に収斂していくのか、などと考えました。それでいいのかな? (2025/1 追記)実は、この本の舞台は2025年。ついに追いついちゃったね。2007/03/04
けいちゃっぷ
12
小惑星を住めるように改造した船に住む人々。 彼らの価値観は地球に住む者とは違ってしまうし、長く(人によっては生まれてから)宇宙で暮らすためには、環境に合わせた意識付けが必要ということか。 地球で生まれた人がそこを離れるという事は簡単ではないのだろうなあ。 373ページ 2016/07/30
spica
3
小惑星(船)に住む少女が、地球人に送るレポート、という体裁の物語。大人が子どもの口調で文章を書くと違和感があるな……と思いつつ読み進める。船生まれの子どもは、価値観も能力も地球人とは異なる。地球からの転校生との対立でその違いを浮き彫りにし、地球を懐かしむ主人公の母親も絡めることで、故郷・地球と新世界はどちらがいいのか、を考えさせられる。設定では2025年。あと10年でここまで進むかは分からないが、宇宙に飛び出すなら柔軟な思考が必要だと感じた。2015/06/25
まなな
2
タイトルと自由落下と子供というのが「自由軌道」と似てて混同してたので再読 軌道といっても太陽の軌道だった 最初つまらないと思うんだけど宇宙船の真実とかわかってきて面白くなる でもこの舞台2025年 いろいろこわいとこもあるな2022/04/25
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