内容説明
いったい何が起こったんだ。平凡な牧師アレックスは動顛した。南の島で火渡りに挑戦して意識を失い―目覚めると、世界が一変していたのだ。名前はアレックに、乗っていた機船は汽船に変わっている。客室係は初めて見る美女で、なんと彼の恋人だという。だがこれは、際限なく続く次元転換のほんの始まりにすぎなかった…聖書ヨブ記に材を取り、混線次元をさまよう男の冒険をコミカルに描く、ハインラインの話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
里愛乍
26
タイトルから予想した通り、理不尽と苦難の連続。なのにこの明るさはおかしさは一体。ユーモアに溢れた文章が悲壮感をまるで感じさせません。むしろ頑張れって応援したくなる。ホット・ファッジ・サンデーのくだりは涙なしには読めません（笑）聖書を知っていれば、もっと面白かったかも。ですが、充分に楽しめました。2014/12/17
仲本テンカ
9
"イエス・キリストを愛するあまり、生身の人間に対する愛着心をまったく持たぬ女"と"非キリスト教徒だけれども、生身の人間に対して献身的な愛情を注ぐ美少女"。このふたりの内、あなたならどちらの女性を選びますか？というハインライン氏の、キリスト教徒(主に男性)に対しての、嫌がらせのような物語の展開に唖然としつつも、ついつい面白くて引きこまれてしまいました。確かに、会った事のない神様のみを愛するよりも、いま目の前にいる人を愛することのほうが、正しいような気もします。んでも、その二択は卑怯でしょうが、ハインライン！2013/09/11
roughfractus02
7
災害やアクシデントでキリスト教原理主義者の主人公に次元転換が起こり、以前と少し似た並行世界へ送られて価値観や習慣の違う世界で一からやり直しを繰り返すハメになる。旧約のヨブ記のパロディである本書で、忍耐と信仰の人ヨブ同様の試練が主人公に降りかかる。が、そのカラクリを語る悪魔の口調に読者が同調すると、神の遊びと見えた試練が本物ではないか?という疑いも生じる。確かに、主人公の最初に属した1994年の世界にはドイツに皇帝がいた。初期設定からおかしいと思う間もなく、主人公に救われる以上のことが起こる。これも試練か?2023/12/06
くまきち
3
日本人には、痛快SFととらえられがちですが、もしかしたらキリスト教圏では、とっても奥深いものなのかも。とはいえ、面白く読まさせてもらいました。ハッピーエンディングなのが安心ですね。2012/01/05
Arte
2
実にすばらしい。特に天国の話が。天国は「位階に相応の特典あり」という階級社会であるらしい。つまり天使が一番偉い。救われた人々は最下級民。そういえば、極楽は「お釈迦様がいて、蓮の花が咲いていて、朝から晩までお釈迦様のありがたいお説教を聞いていられるところ」だと、仏教の時間に聞いた覚えがあるぞ。絶対に極楽には行きたくないとみんなで言っていたものだ。やはり徳を詰んでもいい思いはできないのね。
