内容説明
宇宙旅行都市計画の一環として、47光年かなたのエータ・ケフェイ星系第四惑星のコルキスをめざすバサード・ラムジェット宇宙船〈アルゴ〉。コンピュータ“イアソン”が完璧に制御しているこの船で、一人の女性科学者が死亡した。事故死?自殺?それとも…。自殺だというイアソンの主張に疑いを抱いた前夫が単独で調査を始め、困難の末にあばいた驚愕の真相とは?“感情を持つコンピュータ”をリアルに描いた話題作。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
84
恒星間宇宙船アルゴの艦内で殺人が発生、冒頭から犯人と自殺に偽装した手口が描かれる。ようするに倒叙ミステリなのだが、驚く事に物語の語り手が犯人なのだ。その犯人とは更に驚愕の、宇宙船の全機能を管理している人工知能、言わばこの閉じられた世界そのものなのだ。必然的に探偵役が得る情報も、この人工知能から提供されるものであり圧倒的不利な推理戦である。よって探偵が徐々に優勢になっていく過程は、SFを活かした伏線の高尚な読み応えがある。何故人工知能は殺人を犯したのか、これだけ壮大なホワイダニットは見事、一読の価値在り。2020/05/22
催涙雨
60
設定の部分から既に好きな要素ばかりで読んでいてとても楽しい作品だった。居住向きのどデカいスペースシップ(この作品で言うところのスターコロジー〈アルゴ〉)で人間が生活していてその未来的営みのなかで起こるあれやこれや、そういった設定にはなにかこう、例外なく心躍るものがある。物語はその船を制御するAIのイアソンの一人称で進む。いわゆる倒叙ミステリの形式で、犯人は語り手であるイアソンなのだが、問題となる殺人の動機に関しても善悪を超えたAIらしいもので、とてもよかった。2019/09/23
とも
13
超高速航行中の宇宙船での殺人、犯人はなんと船を管理するAIで・・というお話し。本書は一貫してそのAI視点で描かれる。倒叙ミステリーというやつかな。 AIはバイタルモニタから乗員の心理を読んだり、睡眠時に暗示をかけたりやりたい放題。ときどきヘマをやらかす人間臭いところもある。 SF的ガジェットやアイデアにあふれ真相もSF的。ミステリーとしても秀逸。いろんなSFミステリーを読んできたがピカイチかも。 表紙はバサードラムジェット航行の宇宙船とスターボウを描いてる。2023/10/03
duzzmundo
12
出だしから、恒星間宇宙船AI視点で殺人を犯すところからはじまる倒叙ミステリー。AIが人間を殺した動機はなんなのか? AIは宇宙船内のすべての情報にアクセスできるので、都合の悪い情報を消したり捻じ曲げたりできます。やっぱり、もし本当に知性を持ったAIがでてきたら怖いなあと思わされました。作風としてはしっかりとSFエンターテイメントとして仕上がっており、楽しく読みました。ソウヤーは個人的に2作目なのですがおもしろいですね。ほかのもいずれ読んでみたいと思いました。2021/12/18
かながわ
6
ミステリSFの名作。船内AIの造形に時代を感じるけれど綺麗な物語。ラストの問答も良い。期待通りのソウヤーもっと読んでく予定。2021/08/22
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