内容説明
「なに、この星の住民は誰も死なない!?」調査員セランがとある小惑星で耳にしたとんでもない話。だが待てよ、それが本当なら、この星の先祖をたどっていけば宇宙の永遠の謎、万物の始まりを解き明かすことができるではないか!そしてある家に忍びこんだ彼を待っていたのは…。悪夢と笑いにみちた表題作ほか、世界最高の科学者たちがおかしな実験を繰り広げては右往左往する「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」「その町の名は?」など21篇を収録。愛すべきホラ吹きおじさんラファティが贈る、抱腹絶倒の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
43
面白い!皮肉と徒労感を散りばめた馬鹿馬鹿しい内容の短編の数々。タイムパラドックスや超知性なんかの哲学的な命題をジャンクに料理してみせるその手腕はなかなかお目にかかれるものじゃない。あまり理論に走るタイプの作家ではないのでとっつきやすいし、何より高尚なはずのテーマも俗っぽくなっているのでSFの中でもリーダビリティは高い方で、あとは著者と趣味が合うかどうかという一点勝負。決して本格的にじゃなく、甘酸っぱい思春期みたいにちょっとひねくれちゃった人におすすめしたい。2015/10/22
うまる
36
【900レビュー記念】せっかくキリ番記念で選書したものの趣味が合わず。どこが抱腹絶倒の短篇集なのよ~。有名な方のようですから、SF好きは爆笑なんでしょうか。ごくたまにクスリとする所はあっても、オチまでよくできてると思う話は全くなかったです。あと訳のせいなのか元々なのか、文章の筋が通ってなくて支離滅裂になってる所が気になっちゃって。そういうのはちょっと楽しめないタイプなので、合わなかったのかもしれませんね。好みじゃない短篇を500ページも読むというのは、なかなかの悪夢でした。2022/08/22
三柴ゆよし
12
SFというよりはむしろ宇宙的規模の馬鹿話。突拍子もない世界がまず設定されていて、物語はほとんど一直線に進行していく。作者の奇想もさることながら、浅倉久志の翻訳にも拍手を送りたい。特に、「ブタっ腹のかあちゃん」でのうさんくさい関西弁は最高。2009/06/23
還暦院erk
11
図書館本。水玉螢之丞『SFまで100000光年以上』で紹介されていたので借りた、初読み作家さんの短編集。表紙や表題作から「お笑いSF?」と思ってたが、怖~い読後感の作品「スナッフルズ」とかもあった。大昔、教育学をかじってたから、「カミロイ人の初等教育」に出てきたカリキュラムを真剣に検討してしまったよ。「筒井康隆系星新一系などとくくれない…ラファティ系としか言えないなこれは」というのが通読しての感想。映像化は無理ってなSFも面白いものだ。2016/09/02
訃報
11
21編も入っててほとんどハズレなしというのが異常。アイデアだけでもぶっ飛んでて面白いのに書きっぷりも面白い。テンポ良い。無駄な描写がない。楽しい無駄ならたくさんある。知識の広さ、深さを感じさせるが基本読者は知識がなくても楽しめるようになっててすばらしい。多くの場合大衆小説には「説明」が不可避なので小説として退屈な部分が生まれてしまうのだけど、本作は極力それを潰すように心がけて書いている気がする。訳も楽しんでいるのが伝わってくる。2015/03/15