感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
催涙雨
52
第一部の終わりから第二部の序盤にかけて情報量を絞った文章が続く。なにが起こって第二部の頭へと繋がるかは第一部の最後の2ページからだいたいわかるのだが、にしても話が飛躍してまったく別物になる。人間は滅びた地球の代用品である〈ハウス〉に閉じこもっている。乱暴な言い方をすれば人間は内に向かうべきか外に向かうべきかがテーマにあたり、間接的にではあるが一部のクローンによる管理社会が描かれる。作品としてはそんなクローンたちが次々に殺されながらも記憶を共有し身体を乗り換えながら敵の正体を暴いていくサスペンス調のもの。2020/09/02
ニミッツクラス
26
85年(昭和60年)の380円の青背初版。著者曰く『神話学から離れて(中略)本書はシリアス、「砂のなかの扉」はユーモアを盛り込んだ』…後者はまさにその通りなのだが、本書のシリアスさは神話学に匹敵するワケワカメさがある。3部構成で、第1部は裏表紙の概略の通りで、敵方の正体が不明なだけで面白い導入部となる。第2部に入ると妙な背景描写とクローン人生が真実なのか、或いは幻想か多重人格オチかとの疑念と混沌が増す。カバーは第1部の装甲スーツのイメージだろう…ずっと加藤氏の絵だと思っていたが渡辺氏だった。★★★★☆☆2024/11/05
スターライト
12
狙撃により命を失ったアンジーは未来の地球で甦り、人類の運命を左右するたたかいに巻き込まれる。彼の任務は〈一族〉(ファミリー)に敵対するスタイラー。しかし彼は次々と死亡しながらも「転生」していく。70年代の作品らしく、ベルト路(ウェイ)とか当時予想された未来社会の小道具に思わずニヤリ。それはおいても、神話作家としてのイメージからの脱却を図ろうとした作品群の一つとして、ヴァン・ヴォクトを思わせるスリリングな展開を、ゼラズニイ流にスタイリッシュに仕上げたといえるだろう。『砂のなかの扉』と読み比べるのも一興。2018/06/21
鐵太郎
10
ヘル・タナーの物語を読みたくて物置をあさり、こっちしか見つからなかったので再読。主人公が転生するハードボイルドな多元宇宙世界、とでも言うべきか。まァ難点を言うと、語り口のしつこさかな。正直口に合うお話ではないが、あの頃のニューウェーブの流れを思い出した。ゼラズニイって、ハインラインなどの御三家を含む初期世代作家を第一世代としたとき、第二世代にあたるそうな。SFの分野の幅が大きく広がっていた時期の、ある意味実験的な作品のような感じがする...書いた当時の作家も読者もそう思ってはいないだろうけど。2018/02/21
DEAN SAITO@1年100冊
9
約1年ぶりに再読。裏表紙のあらすじだけでも充分ワクワクするような展開が予想されるものの、そこに書かれているのは、たかだか本編の「まくら」部分に過ぎない、というのが最初の衝撃。クローンの体を乗り換え続ける主人公の戦いはどれだけの時を超えても終わらない。読み終わって気になるのは、300ページ弱の展開の中で、物語世界では一体どれだけの時が流れたのかということ。第1部終盤で展開される戦闘鎧(アーマー)を着た戦闘描写は、発射体(多分、ミサイルのこと)が頬をかすめるのを感じ取れるような臨場感と躍動感。2019/02/09
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