感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
24作の短編(1950-1973)を集めた本書は意外さ、驚き、笑いを惹起する作品が多い。平面と直線を進む物語世界に段差や穴を作るその構造は物語世界の直線的時間をタイムトラベルで、平面的空間を時空のジャンプで変形し、愚者を天才に変え、外界の解けない問題が自分自身の死が解決する場面を用意する。一つの意味と思われた言葉も二重の意味を持たされる。時空ジャンプして戻ると米国のindian居住地はIndianの国インドに変わる。本書の表題Buy JupiterもBy Jupiter(驚きを表す慣用句)をもじっている。2023/07/31
Wal
4
ユーモア作品あり、教訓めいた作品あり、人口増加の著しく進んだ世界を何篇か書いているのはいかにもアシモフらしいと思った。目次の並びがそのまま作品の発表順になっており、各作品の合間になかがきが挿入されているのがとても嬉しい。どうやらエベレスト初登頂の頃は、まだ無邪気に火星人を登場させられる時代でもあったらしい。「バトン、バトン」「問題の鍵」「最大の資産」あたりが好みの話だったが、タイトルだけなら「木星買います」が抜群に良い。2020/06/30
みやぎ
3
SF短編集。1話がかなり短いのと、1話毎にあとがきと次の話のまえがきがあってそれもそれで面白い。『地獄への流刑』と『問題の鍵』が好き。2024/03/24
チクタクマン
3
十数ページで読める話がほとんどで、サラッと読めた。表題作は、宇宙人の木星を買いたいまさかの理由に驚き。「雨、雨、向うへ行け」のオチも印象に残った。この短編集の最大の特徴は、作者アシモフによる、どういう経緯で各作品が雑誌に掲載されたかの自伝的注釈であろう。他の短編集では見た事ない試みだと思うが、こちらの方も楽しく読む事が出来た。2017/12/13
みにゃー
2
ショートショート集。なかなか良かった。作者註釈にあるようにやや寓話が強いのが多い。光の韻律や雨、雨、向こうへ行けの終わり方が好き。最大の資産みたいなのも良い。2017/09/18