ハヤカワ文庫<br> この人を見よ

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ハヤカワ文庫
この人を見よ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 260p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150104443
  • NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

34
肥大した自意識を抱えながら人を拒むが、真の孤独には耐え切れない神学者、カール。誰からも愛されたいと願いながらも自分が人を愛しようという努力をしない「臆病な自尊心と、尊大な自尊心」を抱えた彼は神に祝福されて人々に進行されているキリストの実態に迫るため、タイムスリップしたが・・・。カールの殉教は、結局は人々に注目されたいというエゴでしかなかった。最後の磔刑でカールは「自分は幼子だから救われるのだ」と信じて救いがなかったことに「なぜ」と呟きながら苦痛で死んでいく姿が福音書の引用と被さって余計に悲しく、映ります。2014/02/06

ゲンショウ

22
ねねみるさんの新約聖書レビューより、思い出し登録。タイムトラベルものです。私の宗教に対する考え方に、影響を与えた本です。内容には触れませんが、一言。大変、冒涜的です。ソクラテス、キリスト、孔子。世に謂われる宗教家、哲学者は、手ずからの著述を行っていないと云います。その人の想いは、最早、常永久の謎。ですが、多少の脚色が在るにせよ、その行動は事実…若しくは、それに近いものだったのでしょう。この人等は、その時代の要請と自分の役割を心得、その役割に沿って生きただけかも知れません。それを偉業と謂うのでしょうね…。

みっちゃんondrums

16
25年ぶりかで再読。哲学、宗教がらみのSFつながりで。自分が何者かを問い、愛されたいと願い、人の気を引きたがる主人公カール・グロガウアーは現代社会に適応できない。彼はイエスの磔刑を見届けるために、タイムマシンで紀元30年あたりに跳ぶ。そして・・・。キリスト教徒信者からすれば冒涜的な内容だろう。新興宗教の発生もこれに近いのではないか。「預言者」が「予言者」になっているのは故意なのかな。2016/07/10

鐵太郎

16
不完全なタイムマシンで起源直後の世界に飛んだヒキコモリの青年の話。イエス・キリストという人物とその歴史、その解釈について、歴史とSFを融合させた物語で、歴史SFの面白さを教えてくれた一冊です。2007/11/30

臓物ちゃん

12
1945年以降の神無き時代に生きる主人公は、精神疾患にも似た己の信仰心を試すべくタイムマシンでイエス・キリストに出会うため二千年前のパレスチナへと赴いた。しかし、た……磔刑にされたのは……おれだったァーー今キリストを観に来ていたのにィ~~!そんな破滅的な結末に至るまでの一つの孤独な魂の遍歴を描ききった、人間の業を考えさせられる圧巻のキリスト教SF。程よい薄さや思いっきりネタバレしてるまえがきを含めて、町田さわ子が好きそうな一冊でした。2021/06/19

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