感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
33
この巻では、主にポウルとジェシカがフレーメンに受け入れられていく過程が描かれています。水が極端に少ないので、水を貴重品とみなすフレーメンの文化が生き生きと描かれており、異質なものを緻密に描き出すSFの醍醐味の一つを味わうことができます。SFで描かれる未来社会は、多かれ少なかれ現在の世界の反映であることが多く、物足りなさを感じることもあるのですが、この『デューン』で描かれる遠い未来の社会は不可思議で、底の知れないところがあって、どこまでも惹きつけられます。2024/09/15
NAO
33
ポウルと母は、何度も死と直面しながら、ついにフレーメンの族長スティルガーと出会う。砂の惑星に住むフレーメンにとって、物資は乏しく、水は何よりも貴重であるため、水に関わる彼らの特異な習慣が描かれているが、それは、究極のエコロジーである。フレーメンの夢は自分たちの母星アラキスを緑の星にすることであり、それこそが、この話のテーマだ。スティルガーたちと合流したのち、いくつもの試練を乗り越え、ポウルは、ついにムアドディブというフレーメンの名を手に入れる。仇敵ハルコンネン家に捕らえられた公爵家の暗殺者スフィル・ハウト2015/10/05
姉勤
31
砂漠の星の民、フレーメンに匿われたポウルは、コミュニティーに参加する資格と、伝説になぞるような資質を試され、そして母ジェシカの魔女としてのちからの発現に、畏れ奉られる。一方の謀略によってアラキスを征服した男爵は、動かした皇帝の兵の軍資金を賄った宇宙教会の要人かつ皇帝の代理人の伯爵から嫌疑をかけられ、また文武に秀でた甥との確執の萌芽に、きな臭さと民族的解放の潮流がクロスし、第二次大戦前の中東をモデルとした、古典SFが昨今の世界情勢とかぶる。2015/11/18
Tadashi_N
20
対立の構図が見えて来る。砂漠で生きるためには、テクノロジーが必然。2022/04/01
鐵太郎
20
この章は、アトレイデ家敗北の後の、さまざまな物語です。砂漠の民の中で変貌していくポウルとジェシカ。奇妙な「超人」たちを受け入れることとなったフレーメンの一団の困惑。主人の愛妾の裏切りを知って変節してしまうスフィル・ハワト。生き残ったガーニイ・ハレックと義務を果たしたダンカン・アイダホ。ファイド・ラウサに立ち向かった名もなきアトレイデ家の男。 ──そして、ウスル、それからムアドディブと名乗ることとなる一人の少年。ここから戦いが始まるのです。2011/02/01