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出版社内容情報
ウイルスのパンデミックによって荒廃した世界。治安は著しく悪化し、物資も乏しい。アメリカのある町に暮らす老人は、悪質な犯罪と公権力の横暴に脅かされながらも、娘や孫と懸命に日々を送っていたが……。巨匠リューインが真摯に家族の絆を描いた最新長篇。
内容説明
未知のウイルスのパンデミックによって世界は荒廃した。人々の貧富の差は広がり、治安は著しく悪化し、物資も乏しい。そんなアメリカのある町に、感染症で最愛の妻を亡くした老人がいた。残された娘や孫を失うものかと、ときに商店から食料品をくすねながらも、懸命に日々を送る彼。そして、犯罪者や警官たちの横暴で町の状況がますます悪化していくなかで、老人はある決断をする―デビュー以来、「家族」をテーマに数々の傑作を紡いできた名匠リューインが、ウイルス禍のいま改めて描く最新長篇。
著者等紹介
リューイン,マイクル・Z.[リューイン,マイクルZ.] [Lewin,Michael Z.]
1942年アメリカのマサチューセッツ州生まれ。1971年に『A型の女』で小説家デビュー。数々の傑作を送り出す。現在イギリスのバース在住
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年生、早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雅
72
パンデミック後の世界を描いたディストピア作品。明るい話題のない世界で家族愛を全開に生きている。気分が良くなる内容でした2022/12/10
ナミのママ
66
ディストピア小説。コロナによるパンデミックで荒廃した世界。上流と下流に分かれゲートで分断されている。老人・娘・孫の3人は空き家を転々とし、数日にしか出ないフードバンクに頼り、必要に迫られれば盗みも働く暮らし。最初に犬のパンジー・ヴァリアントが加わる。続いて13歳の少女マンディが同居する。先の見えない暗い日々を淡々と綴っているのだが、家族の温かさが伝わりなぜかホッとする。老人のつぶやきもクスッと笑える。この一家はどこへ向かうのだろう。どこに行ってもやっていけそうだけど。2022/07/30
しゃお
31
リューインが描く未知のウィルスによるパンデミック後の荒廃とした近未来。政府が機能しているのかどうかも分からない世界で、住居もなく配給に頼り、娘と孫と時には盗みを働きながら、ただ生きるための生活を送る老人。それでも家族を守るために知恵を絞り、金バッジをひけらかす警官たちや弱者を虐げるものたちからの生活から逃れようと戦いを挑むその様子に、なぜだか胸が温かくなるものが。世界は冷たく、老人達家族にも決して慈悲が降りてくる訳でもなく、その行先に希望があるのか、それとも・・・。2022/10/30
ハスゴン
25
これからはわからないが、こんな世の中にはならなくて良かったと思うのと、長編のハードボイルドを読んでみたいと思うのは僕だけではないと思う。2023/11/04
tom
23
マイクル・Z・リューイン、大昔に読んだパウダー警部補の本は面白かった。まだ生きてるのかと、不思議に思いながら借りてきた。開けてビックリ、新作だった。彼は御年79歳でした。コロナのために崩壊したアメリカで生きる祖父と娘とその息子が登場人物。食い物と衣服は配給で与えられるけれど住居はない。彼らは廃屋を転々として暮らしている。そんな中で、金持ちは警察を雇い、思うがままの生活をしている。嫌な世界になっていた。こんな世界からの脱出劇。淡々と物語は進む。盛り上がることもない。でも、何しろ79歳。本を書けるのだ。2022/08/29