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出版社内容情報
混血のボビーは、黒人のアイデンティティーを隠し、白人としてやり過ごしてきた。しかし、出所したばかりの白人の親友が起こした黒人青年へのヘイトクライムに、不本意に関わってしまったことをきっかけに、親友、そして家族との関係は思いもよらぬ展開へ……
内容説明
1995年、ピッツバーグ。O・J・シンプソン事件の裁判の行方が全米で注目され、人種間の緊張が高まるなか、青年ボビーは秘密を抱えていた。それは、白人として生きる彼に黒人の血が流れていること。その彼の前に、白人至上主義者に変わり果てた旧友アーロンが現れ、ある黒人青年に対し傷害事件を起こす。期せずして旧友の逃走に手を貸してしまったボビーは捜査に怯え、さらには出自をアーロンに悟られまいと苦悶する。そんなとき、黒人である死んだはずの父親が姿を現し―。人種問題の核に迫るクライム・ノヴェル。
著者等紹介
ヴァーチャー,ジョン[ヴァーチャー,ジョン] [Vercher,John]
アメリカ、フィラデルフィア在住の作家。長篇デビューとなる『白が5なら、黒は3』は、エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)をはじめ、アンソニー賞、レフティ賞の最優秀新人賞にノミネートされた
関麻衣子[セキマイコ]
英米文学翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
68
最初から最後まで重苦しい作品だった。タイトルの『黒と白』は人種問題を表している。ここまであからさまに差別があるのかという驚きと共に、自分の中にその血が流れている事、混血。目を背けたくなるような暴力、貧困やアルコール問題。ここまで読後に考えさせられる作品は久しぶりだった。2021/03/30
ヘラジカ
56
アメリカの世論研究所ギャラップによると、人種間結婚の容認度は2000年の段階で3分の2を下回っていたという。他の書籍で得たデータなので詳細は分からないが、人種差別が激しい地域のことは推して知るべしだろう。この作品の舞台は1995年。そういった当時のアメリカを知っていると尚更この物語が重苦しいものに感じられる。登場人物のそれぞれの繋がりの複雑さ、生々しさに引き込まれ、読み終えるまで本を手放すことが出来なかった。特にアーロンの”思い”に気づいたときは思わず溜息が……。デビュー作としてはこの上ない作品だと思う。2021/02/04
R
54
BLM問題を扱ったというか、アメリカの日常を描いただけともいえるような小説だった。ことは単純で、白人貧困層と黒人、それぞれの世界が抱える倫理と問題によって、白人と黒人の若者が世間からドロップアウトして破滅の道を進んでしまうという内容。アメリカの刑務所に入るということが、もう二度と普通に戻れないという状態を引き起こしているような内容が恐ろしく、すっかり憧れの国とはいえないそれだと思わされたのでありました。実際どこまで、こうなんだろうな。2021/07/31
しゃお
52
読んでいて胸の中がザワザワしたりモヤモヤとしたり、とにかくやるせなくも辛いものを終始感じながらも、それゆえに最後まで目が離す事ができませんでした。根強い人種差別を軸に、暴力やアルコール、貧困など様々な問題が描かれる中、アイデンティティを保持するために自身に言い聞かせながら生きるしかなかったボビーも切ないが、出所したばかりの親友アーロンが刑務所で受けた暴力と彼の胸のうちを想うとより痛みを感じるものが。人々の憎悪と暴力の連鎖を断ち切れる環境は、果たしてどうしたら作れるでしょうか…。2021/03/27
ちえ
40
ロス暴動の4年後、O.Jシンプソン裁判真っ只中の1995年。アルコール依存症の母親と暮らすボビーの前に現れた旧友アーロンは刑務所生活の中で白人至上主義に変貌していた。貧困、人種、暴力、親子、アルコール…246ページでは足りないほど多くのものが入ったミステリー。ボビーの過去や今、アーロンの刑務所での経験はあまりにも重くアメリカの持つ問題をまざまざと突きつけられる。自分の出自を受けとめることが出きず隠し続けるボビーの姿は、人種問題を越え〈自分自身〉を探し続ける私達にも重なるように思える。 続く↓2021/03/15
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