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出版社内容情報
キプロスの浜辺に難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。偶然その写真を見たアサドは慟哭する。失った家族とのつながりを持つ人物だったからだ。彼の壮絶な過去を知った特捜部Qは、アサドの宿敵を捕らえ、また恐るべきテロ計画を阻止するために動き出す
内容説明
キプロスの浜辺に、難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。新聞で「犠牲者2117」として紹介された彼女の写真を見たアサドはうちのめされ、慟哭する。彼女は、彼が失った最愛の家族とのつながりを持つ人物だったのだ。アサドはついに自らの壮絶な過去を特捜部Qに打ち明ける。一方、Qには若い男から殺人予告の電話がかかってきた。当初はいたずらかと思われたが本気のようだ。Qの面々は、男が凶行にいたるまえにその所在をつきとめられるのか?ついにアサドの素性が明らかになる、シリーズ激動の第八弾!
著者等紹介
エーズラ・オールスン,ユッシ[エーズラオールスン,ユッシ] [Adler‐Olsen,Jussi]
1950年、コペンハーゲン生まれ。ミステリ作家。北欧、ヨーロッパで絶大な人気を誇る。本シリーズで北欧最高峰の「ガラスの鍵」賞を受賞している
吉田奈保子[ヨシダナホコ]
1974年生、立教大学文学部ドイツ文学科卒、ドイツ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
108
特捜部Q,リーダーのカール、アサド、ローセ他、個性のあるタフなチームだ。そんな組織の活躍を8作目である本作でも存分に楽しませてくれた。今回のキーワードは「2117」。キプロスの浜辺に、難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。「犠牲者2117」として紹介された彼女の写真を見たアサドは、うちのめされ慟哭する。一方Qには若い男から殺人予告の電話がかかってきた。テロ計画が進行中らしい。そんな話を中心に特捜部Qの活躍が展開される。今回はアサドの素性が明らかになる。これはシリーズを読んでいないと分かり辛いと思うが。2020/08/14
ゆいまある
99
アサドの過去が明らかにされるため、重くてシリアス。面白いけど単なるエンタメではない。辛いから休憩しつつ読む。今迄軽さを出してたけど、元々虐待とか移民とか傷つけられてきた人々の話だったと再認識。主要キャラであるローセも前作で一度潰されたし、今度は大好きアサドがどんな残酷な目に合わされるのかと気が気でない。怖すぎて読めない人のために言っとくとバッドエンドではない。めっちゃリアルなヒキニーが出てきて、おお、デンマークにも引きこもりっているのかと興奮したら日本オタクというオチだった。あと、HRT中に妊娠はしない。2022/03/20
sin
90
紛争と云う明日の災禍を逃れて今の不安を耐える難民たちが在る!今も世界のどこかで信仰や信念あるいは正義の名のもとに暴力が奮われている。人間の解釈による根拠の定かではない神の意志、信念と云う狭量な考えの押し付け、履き違えた正義と云う縄張り意識…何処も暴力に解決を求める人間の稚拙さを感じて止まない。本作は直接すぎる翻訳タイトル通りにアサドの物語であり彼を否応なしに巻き込んだ暴力の物語であり息詰まる展開がラストでカタルシスに導く…さて、次巻はカールを貶めた過去の事件との対峙と時制の一致にシリーズ最後を予感させる。2020/07/27
Panzer Leader
83
「第174回海外作品読書会」前回のローセの事件から2年経ち、今回はアサドが主役。どんな過去があったのか全く語られることのなかった彼、時々おっと思わせる言動があったもののラクダの格言や言葉の間違った使い方などでコメディリリーフ的役割を担っていたと思われていた。ところがところが何たる高スペックの職歴、そして何たる壮絶な人生を歩んできたのか。他の事件や出来事など枝葉末節、「アサドの祈り」が聞き届けられるのか関心はその一点のみ。こちらも祈る思いでラストに向かう。2021/02/18
stobe1904
82
【特捜部Qシリーズ第8弾】今回の主役はアサド。中東情勢に翻弄されアサドが背負うことになった壮絶な過去が明らかになっていく。イラク時代の宿敵テロリストに家族を捕らわれたアサドの苦悩と戦いを圧倒的な迫力で描ききるさまは、ミステリに軸を置いていたこれまでの特捜部Q作品とは異なるテイストでサプライズでもあり、またとても満足でもあった。質・量ともに読み応え十分で、このシリーズはますます目が離せなくなった。★★★★★2021/01/14