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内容説明
ハリーは冴えない中年作家。シリーズもののミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末だった。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが…。ポケミスの新時代を担う技巧派作家の登場!アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作。
著者等紹介
ゴードン,デイヴィッド[ゴードン,デイヴィッド][Gordon,David]
コロンビア大学大学院創作学科修士課程修了。映画、出版、ファッション業界でキャリアを積んだ後、各紙誌で絶賛された『二流小説家』で華々しくデビュー
青木千鶴[アオキチズル]
白百合女子大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
350
2012年このミス海外第1位。二流小説家ハリーが死刑囚ダリアン・クレイから告白本の執筆を依頼される…次々に起こる残虐な殺人事件と間に挿入されるポルノ小説…現実と妄想が交差し、何が現実か何が妄想なのかわからなくなる雰囲気が面白い。全編に漂うエロの雰囲気が異様感を加速化させる。小説家ハリーと冷静な女子高校生クレアのコンビが絶妙。ダリアン・クレイは殺人犯なのか?真犯人はどこにいるのか?告白本をハリーに書かせた真の狙いは何なのか?中盤はちょっと饒舌で少し辟易したが、怒濤の終盤は一気呵成でさすがに息を呑む感じだった2015/01/11
佐々陽太朗(K.Tsubota)
184
読み始めてはたと作者名を再確認。デイヴィッド・ゴードンとある。ハンドラーではない。私が一時期はまっていたデイヴィッド・ハンドラーの小説家探偵ホーギー・シリーズにテイストが似ている。売れない小説家で、ちょっと頼りなく、頭は良いけどそれをひけらかさない凡庸さ、決して強くはないけどちょっとした勇気はある。そんな主人公、ハリー・ブロックがステキだ。そして、そのパートナーのクレアが可愛い。ハリーのお母さんが死に際に遺した「あと数年待って、クレアと結婚しなさい」の言葉どおりになるのかならないのかを知りたい。続編希望。2012/02/25
ntahima
171
「ミステリ番付初の三冠達成!」と聞いて大いなる期待と共に読み始める。面白くなかったと言えば嘘になるが、これが2011年翻訳ミステリ最良の成果かと言えば首を傾げざるを得ない。ジャンルの異なる作中作が3つも挿入されるなど、非常に凝った作りである。出だしはやや退屈ながら第2の連続殺人辺りから物語に入り込めた。超おませな女子高生クレアが良い味を出している。動機不明も消去法で犯人は直ぐに分ったが、そもそも謎解きを楽しむ類の小説でもあるまい。筆力充分で今後の活躍には期待できるが、まだまだブランド買いともでは行かない。2012/01/21
財布にジャック
129
題名どおりの二流小説家が主人公で、現実なのか創作なのか惑わされ、あれやこれや疑って勝手に深読みしてドキドキし、よくよく考えてみると大したオチでもないのに、さすが「このミス」1位だけのことあると妙に納得してしまいました。エロかったり、グロかったりもするので、お勧めする人を選ぶ内容なのが残念ですが、これがデビュー作とは思えない凝った作品です。作中に出てくる色々なジャンルの作中作が、彩りを添えていて、良く出来た構成だと感心しました。作中作の続きが読みたいほどです。2012/03/01
ずっきん
98
三冠取ったわりに酷評も多い本書。結論から言うと......すげえ面白かった。さえない二流小説家のモノローグと、書き散らしてるジャンル小説の挿入が渾然一体となって、なんともいえない笑いとペーソスを醸し出す。豊潤。ごっつぁん。そういや著者の『用心棒』もすごく好みだった。ミステリ部分はあくまでスパイス的に読んでしまったので、賛否についてはわからないというか、どっちでもいい感じ(笑)2020/12/10