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内容説明
早くに両親をなくしたローラにとって、兄ビルはたった一人の家族だった。そう、ビルがあの交通事故を起こすまでは…事故の相手は、撮影所に勤める若い魅力的な女性だった。彼女の名はアリス。二人はたちまち恋に落ち、やがて結婚する。兄を祝福しながらも、ローラの胸からは疑念が去らなかった。折りにふれて見せる兄嫁のしぐさや翳り。ひょっとして彼女の過去には、何か秘密があるのでは?やがてアリスの友人という女性が現われたことから、ローラの疑念は少しずつ現実になってゆく。嫉妬、妄執、情熱、そして裏切りが彩る漆黒のサスペンス。
著者等紹介
アボット,ミーガン[アボット,ミーガン][Abbott,Megan]
文学、創作、映画をニューヨーク大学などで教えている。2000年に同大学で英米文学の博士号を得、2002年にハードボイルド小説とフィルムノワールの研究書を刊行した。ニューヨーク市在住
漆原敦子[ウルシバラアツコ]
慶應義塾大学文学部社会学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maja
13
アボットは自分の殻を突き抜けてしまう女心の揺れを描くのが巧いなぁと思う。互いに思いやり合う兄妹の生活に義姉として入り込んできた美女。兄の幸せを歓迎しつつも妹は彼女の放つ異質さに気づいていく。愛する兄に対して敏感になった妹の嫉妬心のようでも、次第にそれが確信となる過程に引きこまれる。義姉アリスの、覆いかぶさるような人の取り込み方とタガが外れていくところがなかなか凄くて気が抜けない。登場人物たちの思いの丈の違いも味わえて面白かった。再読。 2020/04/29
bapaksejahtera
11
「暗黒街の女」に続く2冊目。舞台は遡り1955年頃。幼い時に父母が亡くなり、強い絆で結びつく兄妹。兄は優秀な検事局の捜査官で妹は教員となる。兄は自動車事故で危うく兄を巻き込む所だった女と恋愛の末結婚する。夫婦は強く愛し合い、兄の警官仲間にも積極的に溶け込み。兄嫁は過去を語らないが、結婚後も彼女の周りには、怪しげな男女が入り込む。これを不審に思いつつ兄嫁への嫉妬を抑えきれない妹。こうした記述が延々と続き、終盤で漸く殺人事件が出来。妹はいかにも無謀な素人捜査に入る。傑作なのだろうが私は世界に入り込めなかった。2024/06/12
一乗寺隼人
7
ミーガン・アボットはもっと紹介されてもいい作家だと思うんだが、ハヤカワさんはもう出す気はないのかしら?男臭くないノワール香る逸品。2016/09/26
キーにゃん@絶対ガラケー主義宣言
4
チャンドラーというか、アイリッシュ。頁数も懐かしい感じ。途中で何年の作品か確認したよ。ドラマ「コールドケース」とか好きな人におすすめ。2018/03/24
サイトー
3
読みながら思ったのは、形式だけのヒロインが存在して実際の所は男性2人の愛憎劇って物語は良くありますけど、今作はその数少ない性別逆転verなのではないかという。主人公ローラの、兄を通じての彼の妻アリスへのうねるような思いがヒリヒリ伝わってくる感じ凄く好き。この作品では誰もがアリス(主人公ローラの兄の妻)の目に惹かれていて、ある人物は彼女の瞳を"弾痕のような目"と印象的な形容をするのですが、彼女の瞳をあの手この手で愛憎半ばに様々な形容を当てるのが主人公で、でも最後にある手紙の中でそれが逆転する瞬間にグッと。2016/04/06