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内容説明
とうとう私立探偵免許が戻ってきた。長く辛かった失意の時代とはおさらばだ。また私立探偵アルバート・サムスンとしての日々が始まる―営業再開にあたって、家族や友人たちも祝福してくれた。ただひとり、幼なじみの親友ミラー警部をのぞいて。確かに免許を失ったいきさつから彼とは疎遠になっていたのだが…やがて復帰後初の大仕事が舞い込んだ。依頼は大手の弁護士事務所から。だがその仕事とは、ミラーの身辺調査だった!彼の身にいったい何が起きているんだ?心やさしき私立探偵アルバート・サムスン復活。
著者等紹介
リューイン,マイクル・Z.[リューイン,マイクルZ.][Lewin,Michael Z.]
1942年マサチューセッツ州生まれ。5歳からインディアナポリスに住む。1971年にアルバート・サムスン初登場の『A型の女』でデビュー。同年にイギリスへ移住し、現在はバース在住
石田善彦[イシダヨシヒコ]
1970年早稲田大学法学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃお
26
【再読】前作の終わり方が終わり方だっただけに、果たしてサムスンはどうなったのか気になっていたシリーズのファンは、13年も待ってようやく確認できた本作。月日は流れよりユーモラスな描写が目に付くようになって、以前とちょっと雰囲気は違うけどやはり楽しい。親友ミラーと出来たわだかまりなど見どころも多いけれど、探偵の免許を取り戻しようやく復調してきたサムスンは、これまで見えなかった見ようとしなかったものに気付くようになる様子が何よりも印象的。そしてそれを通じて描かれるのはリューインらしい家族の物語でもありました。2023/06/22
bapaksejahtera
15
前作「豹の呼ぶ声」の不徹底過ぎる終わり方から13年経過し書かれた本作。主人公は親友ミラーとの確執の末探偵免許を失い半端仕事をして母と暮らし続けていた。冒頭探偵免許復活を告げる吉報があり早速美味しい仕事が飛び込む。実はそれには裏があり、著者作品の舞台インディアナポリスの闇が次第に露呈する。小説はいつもの調子で、主人公は善意に満ち、軽率な仕事ぶりで楽しませてくれるのだが、結果は又又不徹底。それでも警察を辞めたミラーや娘と探偵事務所を開設するらしいハッピーエンド。しかし今や80歳になった著者に続編は期待できぬ。2022/11/25
koo
11
シリーズ8作目。初めてアデルが登場人物表に掲載、サムスンのママも「ポジー」という名前が掲載、パウダーも登場とシリーズ完結と言われれば信用するフルキャスト総出のサービスぶり。前作の影響で私立探偵免許停止となった後のサムスンの再生ストーリーがメインですが、再生前の惨めで情けないハードボイルドのかけらもないサムスンは中々衝撃的でした。仲違いしたミラーの身辺調査というメインの事件の真相は捻りが弱く、魅力的な謎解きはありませんが、再生ストーリーとサムが戻り、ママの存在感が増したファミリードラマは充分楽しめました。2025/09/07
西村章
6
なにせ前作『豹の呼ぶ声』を読んだのは30年近く前なので、どんな話だったかまるで憶えていない。で、じつに久々にこのシリーズを読み始めて思ったのは「あれ、サムスンものってこんなにオフビートなユーモアを前面に出す作風だったっけ?」ということで、だいぶ以前とは雰囲気が違うなあ、と感じた。読後の印象は、含羞と静謐な正義感の人A・サムスンが奔走するネオハードボイルド、というよりもむしろ、リューイン作品のオールスターキャストが登場する家族小説、という風合いが強い。カーテンコールのような雰囲気もあって、それはそれでよし。2022/07/30
アル
5
探偵免許が戻ったアルバートに大仕事の依頼が舞い込むが、それは幼い頃からの親友で今や時の人となった警部のミラーの身辺調査だった。アルバートは、友の潔白を信じながらも依頼を受ける。周辺で起こる不穏な出来事の中、自問自答を繰り返しつつ少しずつアルバートは目指すべき方向に気づき始める。母のポジー、娘のサム、親友のミラー、そしてガールフレンドのメアリー。それぞれのキャラクターが立っていることもあり、読み心地がビビッドだ。作中人物との再会は読書の楽しみのひとつだけど、私にとってアルバート・サムスンはまさにそのひとり。2025/09/06