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内容説明
そもそもの始まりは、電気技師ハリソンが妻と住む家に二人の若い下宿人がやってきたことだった。穿鑿好きな中年の家政婦をまじえ、一見穏やかな共同生活が始まるが、人間関係は徐々に緊張を高めていく。そんなある夜、家政婦が下宿人の一人に襲われたと訴えた。そして事態は破局へと向かい、ハリソンの奇妙な事故死でその幕は閉じたかに見えた。だが、父の事故死を信じることのできない息子は当事者たちの手紙を集め、ひとつの箱に収めていた…全篇を書簡のみで構成し、なお鮮やかに人間関係を描き出す、驚異的な技巧に満ちた傑作サスペンス。
著者等紹介
セイヤーズ,ドロシイ[セイヤーズ,ドロシイ][Sayers,Dorothy L.]
1893年生まれ。1923年に処女作『誰の死体?』を発表。クリスティーと共に、英国ミステリの黄金時代を支えた。また『忙しい蜜月旅行』など、ウィムジー卿のシリーズで有名。57年没
松下祥子[マツシタサチコ]
上智大学外国語学部英語学科卒。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
51
父親の死に疑問をもった息子が、父親の死と関係するようなことが書かれていないかと集めた関係者たちが当時出していた書簡。ネックは、自分が見たいようにしか相手を見ないという、当てにならない語り手である家政婦。彼女は、夫妻と二人の下宿人を引っ掻き回すトラブルメーカーでもある。その家政婦が妹宛の書簡に記している4人の人物描写は、当てにならないことを分かった上で読むといっそう面白い。殺害方法も奇抜だが、家政婦の人物描写と犯人の実像のギャップがなんともいえない。2024/06/10
紅はこべ
20
手紙、供述書、検死審問の記録などで構成された物語。ある書簡で生命の起源についての考察がなされていて、本筋と無関係な無駄なうんちくと思っていたら、実は伏線になっていたのでした。犯人や動機には意外性はなく、犯行方法を突き止めるのがメイン。それにしても犯罪を立証する証拠が、あまりにも科学的、専門的すぎて、公判では、陪審員に理解させるのに苦労するのではと、老婆心ながら心配してしまった。2009/03/22
藤月はな(灯れ松明の火)
20
書簡と供述書、裁判記録のみで構成されたミステリー。手紙や供述書は事実やその人物の伝えたいことを記録するしかないので隠された本音を書かれていることの裏に読み解くことが必要となる。進歩していく科学と思想の対立は次の段階へ進むためにぶつかる壁だと思いました。とある人物の手紙に心臓が裏返されて鳥肌が立つような気持ち悪さを感じたら案の定でした. 2012/06/30
ふゆ
14
クリスティと双璧をなす英国推理小説界女傑の書簡で構成された一冊を堪能しました。登場人物をいちいち確認していても、あっという間にキャラクターが立ち上がってくるので心配無用です。人が一人死ぬという切羽詰まった愛憎心理劇が、もう息をもつかせぬ展開。人が他人を評するときの多面性と、意外な一面が混乱を招くのは女史の掌中です。しめしめって感じ。最後の居留守のとこと箱に留めたメモ、よかったです。総じて、おもろかった!2021/02/18
ホームズ
10
前半が若干退屈な感じがしてしまった。読んでいるうちにだんだん面白くなってきましたが(笑)全体としては特別な感じもなくそれなりに楽しめたかなって感じでした(笑)トリックがちょっと微妙でしたが(笑)2010/12/24
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