内容説明
貧農の家に生まれ、関白にまで昇りつめた豊臣秀吉の奇蹟は、彼の縁者たちを異常な運命に巻き込んだ。平凡な彼らに与えられた非凡な栄達は、凋落の予兆となる悲劇をもたらす。豊臣衰亡を浮き彫りにする連作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
147
戦国どころか…「日本一」の出世頭の、豊臣秀吉。その…正直、浅くて広い豊臣一族の複数人物を1編ずつの短編で描いている。さらに正直、「派手で儚い豊臣時代」の経緯や要因を司馬考察で分析。私なりの分析は、背後に『徳川家康』がいるというのは、とりあえず抜きとすると…「秀吉にきちんとした跡取りが出来なかった事。」と「秀吉の晩年の乱れた政治」(朝鮮出兵・近親者の粛清など)と思っているが、ここは司馬さんと、ほぼ同じである。それ+、この物語の『悲哀』の1つ、片腕であった、弟の秀長の急逝や、家臣団(尾張派・近江派)の対立。2022/10/21
優希
64
豊臣秀吉を取り巻く人々を描いています。秀吉の映画は縁者たちを異常な運命へと巻き込んでいく。平凡だった彼らの環境が変わっていったのですね。非凡な栄誉とそれがもたらす悲劇は豊臣のたどる道筋だったのかもしれません。豊臣衰亡の奇跡を浮き彫りにしていて興味深かったです。2023/09/02
ぼっちゃん
61
BSテレ東の「あの本、読みました?」で万城目学さんがお薦め本として紹介されていたので読んだ。北ノ政所や淀殿と秀頼の話はよく出てくるので知っていたが、甥・秀次や秀秋、弟・秀長など秀吉の縁者として能力に関係なく取り立てられるが、それがゆえに悲劇をもたらし、豊臣家衰退の原因にもなっていく姿がうまく描かれており、面白かった。2024/05/01
たつや
56
豊臣家を題材に、全9話に別れてはいますが、ひとつの作品として読めました。一話目の弥助のくだりが好きです。冴えない百姓が紹介してもらった嫁をもらう。名はおとも、という。おともにはおとうとがいる。弟の幼名は猿と言った。もう、ここだけで、ぞくっとしました。あとは、太閤記、国盗物語、関ヶ原とリンクするシーン多数あり、別角度といった印象。最後の、豊臣家の栄華は秀吉という天才が生んだひとひらの幻影のようなもの、という言葉に全てが集約されてるような気もします。自分は淀殿に同情し、家康に嫌悪感を抱きました。2016/11/10
橘
43
面白かったです。今年の大河の真田丸を楽しみに見ているので、あの人かーと思いながら読みました。豊臣秀吉の特異さが感じられましたが、跡継ぎにはとことん恵まれなかったことがわかりました。淀殿との間だけでなく、寧々との間にも子どもがいたら、もしかしたら変わっていたのかな。朝日姫が不憫でした。豊臣家は秀吉一代だったのだな…。戦国時代の本ももっと読んでいきたいです。2016/07/30
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