世界ミステリシリーズ 長く孤独な狙撃

ルエル，パトリック【著】〈Ｒｕｅｌｌ，Ｐａｔｒｉｃｋ〉/羽田 詩津子【訳】〔ハタ/シズコ〕

早川書房（1987/04発売）

• サイズ 新書判／ページ数 315p／高さ 19cm
• 商品コード 9784150014858
• NDC分類 933

内容説明

ジェイスミスの驚きは大きかった。目の前に現れたブライアントという老弁護士は、一週間前、彼がＭ２１狙撃銃で狙った男だったのだ！名うての殺し屋ジェイスミスが仕事を仕損じたのは、今回のブライアント暗殺がはじめてだった。視力が衰えたのか？彼は雇主ジェイコブに対して一方的に引退を宣言し、過去を捨ててひっそりと暮そうとあるコッテージを買った。購入したのは、コッテージの持主の姪、美しい未亡人アーニャの存在のためでもあった。そして、紹介された彼女の父がブライアントだったのだ。ジェイスミスは心に衝撃を受けながらも、詩人ワーズワースが愛したこの湖水地方でのアーニャとの暮しを夢見るが…風光明媚な湖水地方に繰り広げられる死闘、燃え上がる恋、彩りを添える美しい風景描写―イギリス・ミステリ界の鬼才が別名義で贈る傑作昌険サスペンス！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[abk1]

正直、「ダルジール警視」シリーズじゃないし、と積んでたが読んでみるとヒルらしさ満載の本でした♪

2019/10/19

[id:cinemac]

引退しようとしている殺し屋が掛け替えのないものを見つけてしまって、というこれまで57回くらい見たり読んだりしてきた話なんだけど、最高でしたね…。70年代映画みたいな溜めて溜めてからの渋いアクションが堪えられない。（こういうバランスがいいんですよね。）控えめながら意外とツイストなんかもあったりして、エンターテインメントとしても行き届いています。ところで風景がもう一人の主人公でもあって、『アイガーサンクション』とか『北壁の死闘』みたいに光景がありありと浮かぶ克明な描写もよかったですね。

2022/11/26

[ponyoponyo]

「20年間の空虚、20年間の無知、20年間の悪用だけのために魂を売ったのだ。利益も喜びも手に入らなかった。」「人は実際にやってきたことで決まる、すればよかったと思うことによってではないのだ。」切ない。最後に彼は自分自身の人生に意義を見出せたのだろうか。

2016/01/31

[ニミッツクラス]

大御所レジナルド・ヒルのパトリック・ルエル名義のポケミス87年初版を読んだ。以前に“狙撃”でブラウジングしていて行き着いた本だったと記憶している。語弊があるが、面白くてもそうでなくても心に残りそうな本はあるものだ。43歳の主人公ジェイスミスが狙撃に失敗して引退し、その直後からアラサーのヒロイン相手に渋めのハーレクインロマンスみたいな話が続く。硬軟どちらとも言い切れないミステリ活劇ではあるが、女性にもお奨めすることのできる一冊。邦題からハードボイルドを期待した向きにはガッカリ感は否めないなぁ。★★★★☆☆

2013/06/07

[himehikage]

窮地に立たされたフリーの殺し屋。何を犠牲にして、何を救うか…。あまりに美しく悲しい結末が待っていました。映画みたい。

2005/06/05