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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
14
女の作家はどうも、と読まないことが多いが(仁木悦子を昔好んで読んだ)今更乍ら間違いと気づく。確かに女性だから書けるスリラー・サスペンスがある。或夜若夫婦の夫が争いの中で殺される。犯人は不明のまま一年が過ぎ、死亡認定のために裁判が開かれる。小説は主にこの裁判の進行を追い、その中で夫とその母、近隣住民との様々な経緯が明らかにされる。通常なら退屈な進行なのだが、全くそういうことはなく、カリフォルニア南部の狭い人間関係の複雑な織りなしが明らかになる。最後にあるどんでん返しが見事。今後読んでいく作家が見つかった。2022/05/08
harukawani
13
メキシコ人労働者を雇っていた農園主が失踪して1年。状況証拠からも物的証拠からも彼が殺されたことは明らか。死体なき殺人の審問は彼の死亡を確認して終わるはずだった。彼が生きていることを疑わないのはひとり母親だけ。ミラーには珍しい法廷もの。ミステリの骨格としては、短編でもいいようなあっさりとしたもの。それを最上の心理スリラー長編に仕上げてしまうミラーこそが恐ろしい。タイトルの意味が分かるシーン、砂漠を舞台にしながら寒気がするような雰囲気、そして戦慄のラストでついに境界を超え怪物領域へ。円熟の傑作。凄い。2021/09/22
くさてる
11
ラストを読み終えたあと、題名を確認してぞっとすると同時に納得する。メキシコ人労働者を多く使う農場で起こった農園主の失踪について、かれの死を認定する為の裁判の模様を通じて、かれの失踪に関わる人々の様々な思惑と騙し合い、嘘と真実が少しずつ現れていく。謎解きのミステリというよりも人間心理の綾を楽しむ物語として読みました。本当に、この題名がすべてです。2015/12/16
はた
3
マーガレットミラーを読みたくていよいよハヤカワポケットミステリにも手を出してしまった。 まさしく"これよりさき怪物領域"。ラストはゾクっとくる。2022/07/04
まるちばく
3
かなり久々に読んだ。常々なんでこれが埋もれたままなのかと思っていたが、読み返して納得、ちょっと現代では問題になりそうな偏見や差別が描かれてしまっている。でも翻訳次第では何とかならないかな…新訳版で読みたい。2015/09/20
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