Ｈａｙａｋａｗａ ｐｏｃｋｅｔ ｍｙｓｔｅｒｙ ｂｏｏｋｓ 死の猟犬

アガサ・クリスティー/小倉多加志

早川書房（1975/07発売）

• サイズ B6判／ページ数 281p／高さ 19cm
• 商品コード 9784150011352
• NDC分類 933

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[madhatter]

再読。ノン・シリーズものの短編集で、怪奇趣味と深層心理等の近代的要素を組み合わせた作品が多い。また、強調されてはいないが、著者らしい推理要素も仕込まれている。さて、本書の怪奇要素は、今となっては古臭いと感じられるかもしれない。だが、本書には現代でも底冷えのする恐怖がある。特に、古典的幽霊屋敷ものとも取れる「ランプ」。ランカスター氏の言う「以心伝心のランプ」は、普通ならば微笑ましさや救いに繋がる。しかし、斯様なジェントル・ゴースト・ストーリー要素が、あの悲劇を招く。ジェフリーの内にランプがあったからこそ。

2012/05/07

[Gen Kato]

読み逃していた短編集（『検察側の証人』のみ既読）。表題作と『ランプ』『ラジオ』『翼の呼ぶ声』『最後の降霊会』がマイベスト。『ランプ』は古典的怪談なんだけど語り口が絶妙。『翼の呼ぶ声』は哲学的ともいえる。『最後の降霊会』は「母性愛」というものの独善っぷりがとことん怖いうえ、モダンホラーなラストに戦慄。

2018/05/15