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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エチゴヤ
5
表題作目当て。藤原宰太郎のトリッククイズ本にて知って以来はや十数年、これが元ネタかあ〜。と感慨深いです。氏のトリッククイズでネタバレされたミステリも多数あって一時期は読まなければ良かったと思っていたけれど、逆にあのシリーズを読んでいなければこの本も読まなかったかもしれないから、結局は読んでよかったのかな。/全体的に先に犯人と動機・やり方はわかっていて、倒叙物は倒叙物なんどけど、それがどうやってひょんなことから解決するか(犯人がどんな思いがけない偶然の落とし穴にはまるか)という話で論理色は薄め。新鮮でした。2014/05/01
ギルヲ
3
倒叙形式の短編集ですが、どこで犯人がボロを出すかという興味より、犯行にいたるまでのストーリーが面白かった。自動車のステップに座って、とかの何気ない描写が「あ~1930年代だわぁ」とか思ったり。犯人像も、犯罪者と言うよりごく普通の人々という感じが良かった。女性が犯人だったりすると、簡単に離婚の出来ない風潮の時代ゆえの哀れもあり、「もー、真相暴かなくてもいいじゃん」って思っちゃいました。読んだのが昭和37年発行の本で、仮名遣いが今とちょっと違いましたが、古典を読んでる感が出て逆に良かったかもww2021/12/11
moonanddai
1
表題作。犬好きの私としては、話としてハッピーエンドでも、死んでしまっては、やはり悲しい。とはいえ、この話、ノックスの十戒ではタイトルからして既にアウトだけど、やっぱり「有」だと思います、こんな偶然…。/この本の話それぞれは、結構犯人に同情してしまうことが多いですが、「ワニ皮の化粧ケース」の犯人に一番同情します…。2013/09/21
madhatter
0
再読してみて、一篇一篇が非常に密度の濃い作品集だと気付かされた。犯人達が落ちる意外な落とし穴は勿論、今回特に惹かれたのは、犯行以前の描写だった。例えばそれは、殺人の引き金となった事件の巧緻な構成だったり、犯人の複雑な感情の動きだったりする。特に後者は、悪意や利害といった、わかりやすく割り切れる形を取るのではない。それは被害者に対する微妙な嫌悪感や、軽はずみな恋愛を至上のものと思い込む愚かさ、あるかなきかの過去のトラウマだったりするのだが、それらが非常に丁寧に書き込まれているのだ。2011/11/20