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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
madhatter
1
再読。意外な犯人やトリックではなく、人物造形と人間関係で読ませる作品。特に、女性キャラクターが、物語が進むにつれて血肉の通ったものになっていく描写の巧みさには脱帽する。また、普通の童謡殺人とは異なる童謡の使い方が秀逸。実際の殺人事件では何が大事なのかという現実的な疑問に、空想的な童謡を使って答えたのは非常に効果的だ。だが、この要素については、もう少し伏線があっても良かったかもしれない。特に「蠅」の特殊な正体について考えると、その重要性を作中でもっとアピールしつつ、ヒントを与えるべきだったのではないか。2011/02/15